「たまごかけごはん」一大ブームを起した村の今 地方活性化に求められる「地域商社」とは

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もちろん、こうした取り組みへの参加企業は、そこで得たノウハウをほかの地域でも生かすことが可能となろう。地域商社の成果は域内だけでなく域外にも波及することが期待されている。

また近年では、地域銀行が出資をする形で設立された地域商社が目立つようになってきた。

目立つ「地域銀行」発の地域商社

地域銀行は営業エリアの人口減少などに加えてマイナス金利政策等の影響もあって、近年新たなビジネスモデルを模索しており、地域商社事業はその一つと期待されている。実際、地域銀行が出資する形で設立された地域商社はすでに全国で10を超えている。

例えば、大分銀行が出資する地域商社「Oita Made」は、大分銀行の顧客ネットワークを活用したマッチングなどによってブランド「Oita Made」を展開し、オンラインショップやアンテナショップなどで販売している。

また、北海道銀行の「北海道総合商事」は特産品の開発や販売にとどまらない事例である。この地域商社は、北海道の農産物等の「モノ」をロシアへ輸出するだけでなく、農業技術も輸出して、ロシアにおける農業プロジェクトを計画から実施まで一貫してサポートしている。

今回取り上げた事例からは、地域経済活性化における地域商社の可能性が感じられよう。実際に、地域商社は2016年に政府が公表した「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」で取り上げられて以降、徐々に広がりつつある。

2020年度からは地方創生の第2期が始まるが、これまで以上に地域資源を活用したビジネスの広がりが期待されており、地域商社の担う役割は非常に大きい。

岡田 豊 みずほ総合研究所 主任研究員

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おかだ ゆたか / Yutaka Okada

1967年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現在のみずほ総合研究所の前身である旧富士銀行系シンクタンク・富士総合研究所に入社。地域政策、地域活性化等を研究する。趣味の世界では、2000年のモノポリー世界選手権でチャンピオンに輝き、日本モノポリー協会専務理事の肩書も。モノポリー大阪版・横浜版の開発を監修し、各地元企業の知名度向上にも貢献している。

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