案件一掃で囁かれるサーベラス日本撤退説 国際興業、昭和地所など片付け、日本戦略見直し
米投資ファンドのサーベラスが塩漬け案件の出口戦略を加速させている。会社側との対立が表面化した西武ホールディングスについては再上場で一転合意。国際興業については暗闘を続けていた創業一族に持ち株を売却した。昭和地所についても懸案だった土地の処分に踏み切ったところだ。日本戦略は大きな節目を迎え、撤退説もささやかれ始めている。
スティーブン・ファインバーグ氏が率いるサーベラスの日本上陸は1998年。ダン・クエール元米副大統領を会長に迎え入れるなど政界大物を取り込んだ同ファンドは、“ハゲタカ”と恐れられた。過去の企業買収では、あおぞら銀行や旧グッドウィル・グループが代表例。そうした中、投資から10年前後になる前出の3件は出口戦略が見えず動向が注目されてきた。
2006年1月に投資した西武をめぐっては、昨年春の対立劇が記憶に新しい。再上場時の公開株価をめぐり後藤高志社長ら経営陣と意見が衝突、サーベラスは影響力強化を狙いTOB(株式公開買い付け)に踏み切った。が、応募株数は予定買い付け数を大きく下回り、事態は膠着化した。
その後、昨年夏に後藤社長が大物財界人と訪米するなど、両者は歩み寄りを模索。方向性で一致を見たことで、今年に入り東京証券取引所に再上場を申請するところまでこぎ着けた。サーベラスは再上場時の株式売り出しを目指しているものとみられる。
国際興業株も売却
一方、国際興業をめぐっては創業一族への持ち株売却で電撃的に合意、2月7日付で株式譲渡を完了し、派遣役員も引き揚げた。あまり注目されてこなかった国際興業だが、実は投資額の面では西武より重要な案件だ。西武の1186億円に対し、国際興業にはピークの05年3月末で簿価約4200億円の投融資残高があった。ところが、投資直後から創業一族とは深刻な対立に陥っていた。
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