案件一掃で囁かれるサーベラス日本撤退説 国際興業、昭和地所など片付け、日本戦略見直し

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国際興業はロッキード事件の主役の一人で政商とも呼ばれた故・小佐野賢治氏が創業した企業グループ。国内で乗り合いバスや観光事業を展開するほか、ハワイに高級ホテル5軒も持つ。小佐野賢治氏の実弟2人が引き継いだ後、01年からはおいの隆正氏が社長を務めてきた。が、過大な有利子負債を抱え、経営危機に見舞われた04年11月、サーベラスの支援を仰いだ。

サーベラスは銀行団から3500億円の融資債権を時価で買い取り緊急融資も実施、05年3月までに債務株式化などを行った。この時、サーベラスは取締役会の過半数を押さえたものの、小佐野隆正氏の社長続投を容認、同氏が実質支配する持ち株会社に議決権も分け与えている。

が、共同体制にはすぐ亀裂が入った。小佐野氏は高収益のハワイ事業を担保とする債務再編策や、帝国ホテル株の売却に反発し、サーベラス派遣役員に対し株主代表訴訟を提起するに至った。対するサーベラスは一昨年から反撃。小佐野賢治氏の妻が住む会社所有施設からの立ち退き訴訟を提起するなどした。

小佐野氏側が保有株の買い戻しを打診

浜松町駅前の遊休地

そんな中、11年夏から小佐野氏側がサーベラスに打診を始めたのが保有株の買い戻し。当初は価格面で折り合いがつかなかったが、皮肉にも小佐野氏が反発した資産切り売りが、高値買い取りを可能にした。大きかったのが今年1月の東京・浜松町の遊休地売却で、処分価格は約800億円。昨年4月の八重洲富士屋ホテル売却などと合わせ、国際興業には膨大なキャッシュが積み上がった。それを原資に小佐野氏側がサーベラス保有株を買い取ったのが今回のスキームだ。自己株買いも含め、実質的な取引額は1400億円に上るという。

他方、昭和地所についても同時期に懸案事項を片付けている。同社はもともと旧あさひ銀行の系列不動産会社。サーベラスは03年12月にりそな銀行から融資債権1210億円を買い取って傘下に入れ、物件処分を進めた。昨年3月には東京・京橋の本社ビルも売り払った。そんな中、最後まで残っていたのが東京・南青山の土地。再開発地域にあり、まとまれば都心有数の一等地に化けるとされた。

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