再稼働に「身内」も抵抗、浜岡原発のハードル 再稼働の流れにあらがうのは意外な面々

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中電OBも市民会議

2011年4月、扉写真と同じ位置から撮影した写真

同様の問題提起の動きは中電のおひざ元、名古屋にもある。12年3月に発足した「中部エネルギー市民会議」。NPOや大学関係者を中心に、呼びかけ人には元名古屋市長の松原武久氏、元愛知県副知事の稲垣隆司氏らが名を連ねる。中でも異色なのが中電で原子力管理部門に所属していた今尾忠之さんだ。

中電退職後、愛知万博関連のNPO活動などに取り組んでいた今尾さんは福島事故で自らの原発安全神話が崩され、「自分は被告になった」と周囲に漏らした。その告白がきっかけとなって「市民会議」が立ち上がり、呼びかけ人兼事務局という立場で携わっている。

「少なからず原子力にかかわった者として大きな責任を感じている。ただし、私自身は即時ゼロではなくソフトランディングすべきとの立場」。古巣の動きについては「浜岡の安全性が妥当かどうかと申請を出すのは事業者として当然のこと。しかし一番のネックは使用済み燃料の処理だ。この道筋をはっきり示せなければ再稼働の国民的合意は得られないことを、会社全体が共有しなければならない」とくぎを刺す。

これまでの会議には中電の現役幹部も招き、賛否を超えた議論を積み重ねてきた。意見の取りまとめに手間取り、本格的な会議はこの1年以上開けなかったが、3月から再開することが決まった。

電力OBも自民党議員もこれまでなら原子力ムラの「身内」。その批判に謙虚にこたえ続けなければ、再稼働の道は開けないだろう。

週刊東洋経済2014年3月1日号〈2月24日発売〉 核心リポート04)

関口 威人 ジャーナリスト

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せきぐち たけと / Taketo Sekiguchi

中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で環境、防災、科学技術などの諸問題を追い掛けるジャーナリスト。1973年横浜市生まれ、早稲田大学大学院理工学研究科修了。

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