官邸がおびえる小泉元首相の「次の一手」 終わらない「小泉劇場」
「脱原発」は地方選挙の争点になりうるのか──東京都民の考え方が問われた都知事選が終盤を迎える頃、新たな注目選挙が幕を開けた。安倍晋三首相のお膝元である山口県で6日、知事選(23日投開票)が告示されたのだ。
年明けに山本繁太郎前知事が病気辞職したことに伴うこの選挙には、元総務官僚の村岡嗣政氏(41、無=自民・公明推薦)、元衆院議員の高邑勉氏(39、無=生活推薦)、前山口県周南市議の藤井直子氏(61、共産)の新顔3人が立候補を届け出た。
脱原発で山口入り!?
地元の自民党関係者が言う。
「県内では、病気で辞職した前知事に『志半ばで可哀想に』と同情する声が大きい。ご存じのように保守王国ですから、大勢が動くようなことはないでしょう。とはいえ、自民の後継候補は山口出身ですが、ずっと東京にいたような人。選挙戦としては盛り上がりもなく、低調な滑り出しです」
しかし、この粛々と進むはずの選挙が、「脱原発」の次なる主戦場になるかもしれない。地元で計画中の上関原発(中国電力)建設の是非が、争点に浮上する可能性があるのである。
脱原発を前面に掲げる高邑氏は元民主党議員で、今回の都知事選で細川護煕元首相擁立のキーマンとなった木内孝胤・前衆院議員と当選同期。しかも、ともにメリルリンチ日本証券出身という関係にある。まさに、都知事選と同じ「原発推進派の自公陣営」 vs.「脱原発陣営」という構図だ。
「注目は、やはり小泉純一郎元首相の動向です。都知事選では原発ゼロを掲げて細川氏と一緒に都内を駆け巡りましたが、当初、ピンポイントの応援を考えていた陣営に対し、『全部まわる!』と決めたのは小泉氏本人。連日の演説を聞いてもわかるように、彼は本気です。しかも選挙が進むにつれて、いよいよ生き生きとしてきた。この勢いのまま小泉氏が脱原発候補の応援に山口に入るのではないかと、官邸は警戒心を強めています」(政治記者)