再稼働に「身内」も抵抗、浜岡原発のハードル

再稼働の流れにあらがうのは意外な面々

自民党県議が辛辣動画

「浜岡原発を知っていますか」。こんな呼びかけで始まる15分間ほどの動画が、昨年10月からユーチューブで公開されている。

大地震の発生確率のマップと浜岡の位置を重ね、「地震国日本の中でも最も危険とされる場所に建っている」とナレーション。中電が活断層でないとする「H断層系」にも触れ、浜岡は他の原発とは異なり、タービン建屋より海側に原子炉建屋があり、その配置も断層を避けてバラバラになっているため、配管損傷などのおそれが強く、「特に危険なのです」と指摘する。

制作したのは反原発の市民団体ではない。静岡県議会の超党派の議員連盟、代表は自民党のベテラン県議だ。

「自民だから原発推進の内容だと思い込んで見たら、びっくりするでしょうね」。当の天野一県議はあっけらかんと話す。

天野県議は県庁の位置する静岡市葵区選出で当選7回。一貫して自民党会派に属し、党県連政調会長や幹事長も歴任。一方で浜岡を恐れて施設を移転した養護学校「ねむの木学園」の理事なども務め、原発には懐疑的だった。

震災後、「党派を超えて原発の実情を知ろう」と周辺市町村議にも呼びかけ、「原発・新エネルギー検討勉強会」を発足。9回の勉強会で原発の元設計者や学者の意見を聞いたうえでまとめた成果の一つが、「浜岡原発の今とこれから」と題した前述の動画だ。

「客観的で公正」とうたうが、明らかに辛辣な内容。フランスの原子力機関が発表した福島事故による放射性物質の拡散シミュレーションを「浜岡の位置にずらしてみましょう」と放射能の雲が東京を覆うさまを見せつけたかと思えば、各電力会社の電源構成比を並べ、「中部電力は原発がなくても十分な電力供給を行える電力会社だといえるでしょう」と言い切る。同じ映像を2000枚のDVDに収め、中電職員にも手渡しているという。

「中電を敵にしているわけではない」としたうえで、「浜岡を止めた国はその総括をしていない。ならば地元の世論を示さなければ。反対運動でなく、事実を事実として伝え、県民に判断してもらう必要がある」と天野県議は力説する。県内では自動車を中心とした産業界の中にも「再稼働やむなし」の空気が広がりつつあるというが、「お茶農家は原発事故で生活が奪われるような心配を抱えている。地方経済というときにそれらを含めて個々の経済人とは違う判断をするのが政治家の役目」と意に介さない。

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