「まじめえひめ」「人生会議」が酷くスベッた理由 お役所のウケ狙いはハイリスクローリターン

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ネット上の声を拾っていくと意外に多かったのは、「ポンジュースを思い浮かべた」という声。「まじめ」「えひめ」と聞いて頭に浮かんだのは、「愛媛のまじめなジュースです」というポンジュースのCMだったようなのです。本当に愛媛県民がまじめだったとしても、今回のプロジェクトは「ポンジュースのフレーズにダジャレを引っかけたもの」というイメージで笑いづらかったのではないでしょうか。

「ウケ狙いがスベった」という点では、やはり厚生労働省の人生会議と同じ。小藪千豊さんのおおげさな表情、コテコテの関西弁などがことごとくスベって批判にさらされただけで、人生会議の趣旨は残念ながらほとんど伝わりませんでした。

話を「まじめえひめ」に戻すと、近年日本全国の市町村が自虐を前面に出したPR戦略を打ち出しています。また、今年の映画『翔んで埼玉』がヒットしたように自虐を使ったPR戦略は、うまくいけば大きな成果が得られるのは間違いありません。

しかし、愛媛県の「まじめ」はもともと悪いことではないだけに、笑ってもらえるほどの自虐とは言えませんでした。「だから介護や恋人がいないことを強引に持ち出して自虐レベルを上げた」ようにも見えますが、無理がある分、笑えないのは当然でしょう。

公的機関の炎上戦略はありえない

愛媛県はプロジェクトの目的として、「まじめというコンセプトを観光、物産、移住などの幅広い分野で活用しながら、情報の訴求力を高め、実需の創出による地域の活性化に繋げること」「各分野で相乗効果を生み出すことで、長期的に愛媛県のブランド力を高めていくこと」を挙げていました。

しかし、今回の騒動は悪い意味で目立ってしまっただけで、地域の活性化やブランド力の向上につながったとは思えません。たとえば動画を見て、「観光客や移住者が増えたか」「物産の売り上げや好感度は上がったか」と言えば疑問ですし、むしろ「介護1位」「恋人なし1位」をアピールしたことで女性の支持を失っただけなのかもしれません。

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