「まじめえひめ」「人生会議」が酷くスベッた理由 お役所のウケ狙いはハイリスクローリターン

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(写真:まじめえひめ公式ホームページ)

愛媛県が手がけるPR戦略「まじめえひめプロジェクト」の動画がネット上で物議を醸し、テレビでも5日から情報番組などで報じられはじめています。

まじめな県民性を軸に据えた同プロジェクトは、今年4月9日にスタート。特設サイト「まじめえひめ」を立ち上げたほか、アニメ「進撃の巨人」とのコラボ企画も行われるなど、かなり力の入ったプロジェクトであることがわかります。

約8カ月が経過した今、問題視されているのは、同プロジェクトのコンセプト動画「愛媛県まじめ会議」。この動画は、愛媛県庁の職員たちが会議室で県のセールスポイントを議論している中でまじめな県民性に気づき、「まじめえひめ」のコンセプトが決定する様子を描いたドキュメンタリー風の物語でした。

問題視されているのは、愛媛県民のまじめさを物語るエピソードとして挙げられた「介護看護をしている時間 全国1位」「彼氏がいない独身女性の多さ 全国1位」というアンケート結果。県民から不満の声が届いた武井多佳子愛媛県議が中止を求める要望書を提出したほか、ネット上にも「介護をPRに使うな」「独身女性へのハラスメントだ」などの声が飛び交っているのです。

「まじめ」なはずの愛媛県は、どんな理由で批判を集めてしまったのでしょうか。先週、物議を醸した厚生労働省の「人生会議」との共通点も含め、公的機関のPR戦略と、その問題点を掘り下げていきます。

日々悩む当事者を逆なでするイジリ

批判を受けた最大の理由は、当事者たちの気持ちを逆なでするようなイジリ方だったから。

動画の脚本・演出は、介護や婚活をまじめに頑張っている人々を揶揄するような自虐まじりであり、とりわけ真剣に悩んでいる人ほど「バカにされた」と感じやすいものでした。また、当事者以外の人々からも、「介護を無理やり美談にするな」「恋人がいないから不幸という考え方がおかしい」などの批判があがるのも当然でしょう。

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