「まじめえひめ」「人生会議」が酷くスベッた理由 お役所のウケ狙いはハイリスクローリターン

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愛媛県は介護や恋愛(結婚)でしたが、「センシティブなテーマの扱い方を間違えてしまった」という点は、厚生労働省の人生会議と同じ。今現在、病と闘っている患者や家族、あるいは大切な人を失った遺族の気持ちを逆なでにするようなものであり、そもそも「イジっても笑いを交えれば楽しめる」テーマではないのです。

たとえば、「民放のバラエティならこの程度の悪ノリはスルーできるけど、NHKなら看過できない」とみなす人がいるように、民間企業以上に正確性や公平性が求められる公的機関が扱うにはセンシティブすぎる内容でした。そのデリカシーのなさから、「こんなアンケートを採用してしまう愛媛県民は男尊女卑なのではないか」と思われてしまっても無理はないでしょう。

もう1つ気になったのは、動画の冒頭に表示されていた「この動画に出てくるエピソードは、実際の県内のアンケートを基にしたノンフィクションです」というテロップ。もともと「まじめ」の判断基準はあいまいで、一部の人々による主観では測れないものであり、「このアンケート集計は適切なものか?」「どこまで信頼できるデータなのか?」と尋ねられたら、愛媛県としても返答に困るのではないでしょうか。

なぜ公的機関のウケ狙いはスベるのか

動画では、「なぜ『彼氏がいない独身女性の多さ 全国1位』がまじめにつながるのか?」の理由として、「『私はいいので、お先にどうぞ』と他の女性に譲ることもしばしば。そんなおしとやかでまじめな県民性がこのデータから読み取れる」を挙げていました。

ひときわ力を入れて話す出演者の過剰な演技、「バン!バン!」という大きな効果音、「全国1位」の文字を画面いっぱいにクローズアップするカメラワークを見れば、全体のハイライトであることは一目瞭然。しかし、最も笑わせたいカットであるにもかかわらず、多くの人々がまったく笑えないものだったのです。

動画では、愛媛県民のまじめさを裏づけるものとして、「お掃除ボランティアの集合場所に10分前に集合したら、もう掃除が終わっていた」「カジュアルデーも結局スーツ」「飲み会では次の日を考えて、早めに帰る」「この動画のテロップにも丁寧にルビが振られている」などが挙げられていました。プロジェクト名の「まじめえひめ」というダジャレも含め、笑ってもらいたいと思ったものが、ことごとくスベリ続けてしまったのです。

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