「適応障害」になりやすい人を悩ませる循環気質 ストレスに起因する適応障害が増えている

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Cさんは、体調や精神状態が、とくに誘因もなく浮き沈みする循環気質です。循環気質は日本人に多いとされ、全人口の2割を占めます。基本的には快活、社交的で、仕事に対しても意欲的ですが、それは長続きせず、突然やる気が失せて仕事の効率を悪化させてしまいます。一定のパフォーマンスを維持することができないのです。

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循環気質の意欲の源泉は、他者からの評価です。決して、自信満々なのではありません。周囲、とくに会社においては、上司や同僚から認められたい気持ちが強く、また、その延長として、過大な自己評価をします。本音では自分に自信がなく、他者からの評価によりアイデンティティーを確認しようとつねに試みていますが、それはそうしないと安心できないからです。

ポジティブな評価が続けば、それをエネルギーとしてさらに意欲的に仕事に取り組むことができますが、ネガティブな評価は受け入れることができません。受け入れてしまうと、自己崩壊につながるからです。

些細な言動ですぐにカッとなり、上司からの忠告を素直に聞けずに落ち込んでしまい、仕事に支障が出て、その結果、さらにネガティブな評価を下され落ち込むという負のループに陥ります。

循環気質の人はすぐにガス欠してしまう

Cさんの場合、新しい上司の態度は、一般的には許容範囲のレベルのものであったと思われます。しかし、その性格傾向ゆえに耐えきれず、徐々に体調を崩していきました。

循環気質タイプの人は、強度のストレス状況下において、火事場の馬鹿力のように一時的にエネルギーを放出し仕事に集中しますが、すぐにガス欠して動けなくなってしまいます。ほどなく、放出するエネルギーがなくなり、まったく仕事ができなくなってしまいます。追い込まれた不安と恐怖、慢性的な緊張により、心身をコントロールできなくなってしまうのです。

森下 克也 医師

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もりした かつや / Katsuya Morishita

1962年、高知県生まれ。医学博士、もりしたクリニック院長。久留米大学医学部卒業後、浜松医科大学心療内科にて永田勝太郎先生に師事、漢方と心療内科の研鑽を積む。浜松赤十字病院、法務省矯正局、豊橋光生会病院心療内科部長を経て現職。心療内科医として、日々全国から訪れる、うつや睡眠障害、不定愁訴の患者に対し、きめ細かな治療で応じている。
『薬なし、自分で治すパニック障害』(角川SSC新書)、『不調が消えるたったひとつの水飲み習慣 』(宝島社)、『うつ消し漢方』(方丈社)など、著書多数。

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