日経平均が2万4270円を更新する条件は? IT関連財市況の回復の足取りは引き続き順調

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ちなみにこうした生産の下振れリスク後退は、株式市場で言うところの業績下方修正リスク後退におおむね一致する。また、そうした中でIT関連財の受注増加を示す心強いデータが出てきたことにも触れておく必要があるだろう。

それは機械受注統計の機種別統計で示されている「電子計算機等」である。半導体製造装置が含まれるこの系列の回復は、半導体メーカーが将来の増産のため能力増強に踏み切ったことを示す有力な根拠と考えることができる。

メモリ特化の韓国10月半導体輸出は32%減と大幅減少

他方、こうしたIT関連財の市況好転に疑問を投げかけているのは半導体大国である韓国の輸出動向だ。世界景気の先行指標として知られる韓国の輸出金額は10月に前年比マイナス14.8%と大幅に減少した。世界半導体売上高が4~6月期頃をボトムに下げ止まるなか、アメリカ、日本、台湾らではIT関連財を中心に一部明るい兆候が認められている反面、韓国の輸出が停滞しているのは腑に落ちない。

韓国の輸出動向は世界株のEPS(MSCI WORLD、先行き12カ月予想)と連動性があるため世界景気の先行指標として注目度が高い。そのため目下の輸出不振は半導体不況がなお深刻であることを物語ると同時に、世界の企業収益が停滞することを投資家に印象付けている。韓国の10月の輸出のうち半導体は前年比マイナス32.1%と大幅に減少した。

ただし足元の韓国の輸出不振は、同国の半導体産業がメモリに特化していることが一因と考えられる。

現在の半導体市況を簡単に整理すると、データの計算などに用いられる「ロジック」の回復が明確化する反面、データの記憶に用いられる「メモリ」は不振が長引くという二面性がある(その他マイクロン、アナログ、パワーも復調気配)。メモリは2018年まではデータセンタ向け需要の爆発的増加を背景に活況を呈していたが、テック企業の大型投資が一巡したことなどを背景に、現在はその反動が直撃している格好だ。

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