──ダサいのが逆にいい、みたいな“上から目線”はまったくない。
ストレートにカッコいい。僕が好きなヒップホップも、サンプリングといって、もともとあるものに手を加えて新しい表現にしていく文化。それこそ古典文学だの民謡の歌詞だのから、響く箇所や面白いところを自分に取り入れる。
僕よりも何十年も、しかも地元で長く生きてる人たちのそういう格好がスッと入ってきて、一度離れてみて、改めていいなと思った。ヒップホップで「レぺゼンする」って言葉があって、“地元を代表する”じゃないけど“俺はこの町で生きてきた”みたいな話が大事っていうのがある。でも自分はまだそんなこと言えてない、東京に負けてる感をどうにかしたい、ってモヤモヤしてる部分があった。
狙わなくても面白い日常がある
──確かにページをめくっていて、じいちゃんばあちゃんとヒップホップって、案外根っこは近いか同じなのかも、と思いました。同じ目線の高さでリスペクトしてる。
ちょうど自分が埼玉や東京にいた頃、地方創生みたいな言葉でメディアが盛んに地方特集を組んでいた。大抵が、地方はほんわか豊かな暮らし、みたいなキレイな作りだったんです、当時。でも違う部分はいっぱい。ご飯粒が髪の毛に付いてたり、長靴に乾いた泥がこびり付いてたり、米倉に仕掛けた粘着シートにネズミが3匹かかってて、「でも死んでらー」みたいなの、日常以外の何物でもない。
──どの写真もよーく見ると、何だか面白い。まじめな顔でポーズを決めながら社会の窓全開、は序の口として。狙って撮りました?
狙うも何もそういうじいちゃんばあちゃんばかりなので。うちもそうなんですけど、1つの部屋にカレンダー6つとか平気で掛けてある。そういうのは“こっちあるある”で、外から目線で面白いと思って撮るわけじゃなく、日常的なストックで、狙わなくても自然にいる、あるって感じですね。
──自分たちの顔が全国に発信されたことへのみんなの感想は?
無料会員登録はこちら
ログインはこちら