ヒップホップ好きの著者が“奥信濃ストリートカルチャー”の魅力をぶち込んだ写真集。主役は自由自在なじいちゃんばあちゃんたち。柄on柄のレイヤード、ロング丈半纏(はんてん)に手ぬぐいの攻めた巻き方、編み笠にアーミーパンツのこなれ感等々、言われてみれば確かに仕上がってる。淡々としたコメントがクール感をさらに倍増。「ちゃんじーちゃんばー列伝」「茶飲み座談会」ほか、内容てんこ盛りで、飽きさせない1冊だ。『鶴と亀 禄』の手がけた編集者兼カメラマンの小林直博氏に聞いた。
地元の面白さに気がついた
──元はB6サイズのフリーペーパーで、2000部からスタート。各地で義勇軍的に名乗りを上げた店に置かれているんですよね。
今は1万部に増えて、各地のカフェや服屋さん約200店に置いてもらってます。現在5号まで出ていて、タイトルにある「禄」は6号目の意味。禄という字には自然からあずかった力という意味があって、奥信濃のじいちゃんばあちゃんの強さにピッタリ合った。
──奥信濃発のフリーペーパーを出そうと思ったきっかけは?
中学生の頃からヒップホップやストリートカルチャーにハマって、どんどん東京に行きたくなった。地元が嫌いになったというより、単純にもっとカッコいいものを見たいという感覚でした。
昔はフリーペーパーというとクーポンとかお店案内だったけど、ちょうど自分が上京した頃から、コンセプト型のZINE(ジン)(自主制作雑誌)が出始めた。落書きみたいな絵をホチキスで留めただけの簡単なやつだったり、おコメとか土木仕事とか自分の好きなものだけ載せたやつだったり。そういうのを手にして、面白い、作ってみたいなと。
僕の場合、盆休みや冬休みにちょこちょこ行き来するタイミングで、地元の面白さに気づき始めた。じいちゃんばあちゃんの服装を見たときに、渋谷とか原宿を歩いてる感覚で着こなしがカッコいいとか、「どこで買ったんだ?」とか思うようになって。
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