「小6女児誘拐」「卓球・水谷恐喝」の意外な共通点 問題の根源は「子どもをどう守る?」ではない

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「個性や自主性をひたすら尊重し、好きなことや得意なことばかりやらせて、嫌いなことや苦手なことはやらせない」。親と社会が、そんな個性や自主性を一面的にとらえたしつけをしていることが、怖さや警戒心に欠けたテキトー思考の子どもを生んでいるようにも見えてしまうのです。

子どもより犯罪リスクの高い大人も

大人はそんな子どもたちをどう守ればいいのでしょうか?

SNSやスマホで言えば、もちろんペアレンタルコントロール(親が子どもの使用を管理・制限すること)は必要でしょうが、それはあくまで手段の1つにすぎません。

同時に、さまざまな事件を受けて、ITリテラシーを高める教育が進んでいくと言われていますが、それでもリスクを排除できるとは言えないでしょう。

しかし、だからといって、「スマホを取り上げる」「ネットを使わせない」は、時代の流れを考えると現実的な手段ではありません。

その意味で重要なのは、日ごろから楽しいことや好きなことのために使わせるだけではなく、具体的な失敗エピソードを交えて大人や社会の怖さを教え、必要レベルの警戒心を抱かせること。決して恐怖を植えつけるという形ではなく、ましてや怒鳴るのではなく、リスクの多い時代を生きていくうえで「もし自分がその怖い状況に置かれたら……」と想像力を働かせる。そんな親の教育も必要ではないでしょうか。

子どもたちが「これをすると、こんなことになってしまうかもしれない」「会ったことがないだけで、実際にはこういう人もいる」という感覚を身につけたら、被害者になることも、加害者になることも減るでしょう。「恐れを知らない子どもほど挫折に弱い」ことも含めて、怖いものへの警戒心を抱きにくい現在の社会はリスキー。次々に起きる子ども絡みの事件を憂うだけでなく、伸び伸びと育てつつもリスクを教えてあげるのも、大人たちの重要な役目なのです。

とはいえ、大人も子どもたちに対して、必ずしも上から目線ではいられません。子どもたち同様に「自分の好きなものや楽しいものばかり選んで生きる」「怖さや警戒心に欠ける」「想像力がなく、犯罪に巻き込まれてしまう」という大人が増えているのも、また事実。引き合いに出すのは申し訳ないのですが、水谷隼選手の事件は、その典型的なケースに見えました。

さらに、ITリテラシーという点では、学び損ねたままSNSを使用している人が多く、子どもじみたミスを犯してしまうケースが頻発しています。ビジネスパーソンで言えば重要なのは、地位や収入を失うリスクをどう感じ、日ごろからどんな発言を心がけるか。SNSでの失言、思わぬハラスメント、飲酒時の失敗……。地位や収入の高い人ほど、子ども以上にリスクを抱え、怖さや警戒心が求められているのは言うまでもありません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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