あのマツダが「電気自動車」に乗り出す深い意味

ノルウェーで「MX-30」の試験車両に試乗した

「マツダはBEVをはじめとした電動化車両においても、走る楽しさ、走る歓びを大切にします」。こう語るのはマツダの執行役員であり車両開発・商品企画担当の松本浩幸氏だ。正直なところ“走る歓び”といってもピンとこないかもしれないが、筆者なりに松本氏の言葉を解釈すれば、「パワートレーンが電動化されたとしてもマツダが目指している世界は内燃機関(ICE)車両と同じである」と同義ではないかとの理解に至った。

ところでBEVを購入候補として考えた場合、われわれは何を基準にクルマを選ぶだろうか。筆者なら車両サイズや車両価格をその筆頭に挙げる。さらに、バッテリー容量や充電方式、充電1回当たりの走行可能距離についても大いに気になる。加えて、災害時に役立つ外部電源供給システムの有無も評価基準だ。

一方、動力性能について選択肢は少ない。「BEVは速い」というイメージが定着しつつあり、さらに「BEVは静か」であるという評判もつくが、実際はそれ以上でも以下でもない。

日常走行ではそうそうアクセルペダルを全開にすることもないし、そもそも電力消費の点からすれば急加速は電力の無駄使いでマイナス面ばかり。静粛性についてもエンジン音がない代わりに高周波のインバーター音があるし、これまでエンジン音にかき消されていたロードノイズや風きり音がかえって気になるという指摘も多い。

動力性能に大きな違いを見出しにくい

もっとも、速さについて細かく観察すればテスラの各シリーズやポルシェ「タイカン」のようにべらぼうに速いモデルも存在するが、グローバルで累計43万1000台を販売した(2019年8月末現在)日産「リーフ」に対して誰もが思いつく走りのフレーズは、やはり「普通に速くて、普通に静か」となるのではないか。

逆説的にいえば、現時点におけるBEVの動力性能については程度の差はあれども尺度が同じであり、大きな違いを見いだしにくい。

東京モーターショーにマツダが出展した「MX-30」は、こうしたBEVの既成概念を運転操作という観点から覆す注目のモデルだ。筆者は「MX-30」の試験車両「e-TPV」に試乗することができた。

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