あのマツダが「電気自動車」に乗り出す深い意味

ノルウェーで「MX-30」の試験車両に試乗した

「人の感性に合わせた走行性能を突き詰めると、運転操作に対する反応時間の遅れに1つの答えがあることがわかりました。よって、マツダはBEVであっても速さだけを売り物にせず、運転操作に対する車両反応を内燃機関車両に近づける(≒BEVに遅れを付加する)ことでマツダらしさを演出しました」(マツダ車両開発本部副本部長の田中松広氏)。……さて、どんな乗り味なのか?

試験車両である「e-TPV」では、身体とクルマの一体感を強調するために、多方向環状構造ボディ/モーターペダル/Gベクタリングコントロール(GVC)、この3点に的を絞りBEVを筆頭にした電動化車両向けに新規開発した。

多方向環状構造ボディーは、マツダ3から採用されている新しい骨格をベースに、車体フロア部分に配置する角型のリチウムイオンバッテリー(総電力量35.5 kWh/総電圧355V)のケースを骨組みとして活用し剛性を高めながら、フロアとの結合部分の形状にも工夫を凝らして設計された。

試験車両「e-TPV」を試乗する筆者(写真:マツダ)

モーターペダルは、マツダが考えた造語で正体はアクセルペダル。見た目には普通のアクセルペダルと変わらないが、ドライバーや同乗者の視線や姿勢の変化を抑える緻密なトルクコントロールを得意とし、さらにドライバーの踏み込むペダル操作量や踏み込む速度に応じて擬似的なサウンドを発し、トルクの向きと大きさを実感させる。

GVCは、すでにマツダの各モデルに実装されている機構だが、e-TPVでは電気モーターの強みを活かして作動領域を大幅に増やしている点が新しい。これまで効果を出しづらかったアクセルペダルを戻した場面(例/下り坂)でも、モーター回生制御を活用しGVC効果を持続させている。

従来のBEVとはまったく異なる走り

試乗コースはノルウェー・オスロ郊外の山岳路。自然の地形を生かしたカーブが右に左に連続する。E-TPVは乗り始めてすぐに、従来のBEVとはまったく異なる走りをみせた。失礼を承知で言えば速くない、いや“遅い”とも感じられた。初めての試乗コースとあって慎重なアクセル操作をしていたのは事実だが、BEVにありがちなゆっくりアクセルを踏んでいるのにドンと加速するような演出はまるでないのだ。

ただ冷静になってみると、これこそ慣れ親しんだICE車両での運転操作であることに気づく。じんわりとアクセルを踏めば、じんわり加速する。この当たり前のことがBEVでかなうことが新しいのだと痛感した。

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