コクヨを激怒させたぺんてる「密告書」の全内容 提携協議から一転して敵対的買収に発展

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10月29日には2通目の封書が届く。やはり差出人不明で、そこには「PE社」と「PL社」の資本提携の具体的なスケジュールが記されていた。

K社をコクヨ、PE社をぺんてるとするとPL社は、コクヨに次ぐ総合文具2位のプラス社だ。ただ、コクヨの売上高は3151億円(2018年度)、プラスのそれは1772億円(同)と、両社の企業規模には開きがある。この文書に記されていることが事実であれば、ぺんてるは、筆頭株主コクヨの知らぬところで、コクヨをライバルとするプラス社と資本提携の協議を進めていたことになる。

「密告書」に書かれていたこと

穏やかならぬ「通知」に驚いたコクヨ経営陣は11月11日、2通の文書を持参してぺんてる本社に乗りこみ、和田社長と小林健次取締役に、文書の真偽をただした。和田社長は否定しなかったという。コクヨはその場で、第三者との間では資本業務提携に関する協議を行っていないことを誓約する「誓約書」案を渡し、翌12日17時までにぺんてる経営陣で決議、押印してコクヨに提出するよう求めた。

だが、ぺんてるは回答しなかった。そのかわり翌13日、コクヨが誓約書の提出を求めたことを「遺憾」とする書面を提出。しびれをきらしたコクヨは15日、緊急記者会見を開き、ぺんてる買収を決断するに至った経緯をマスコミに公表した。黒田英邦代表取締役社長は、ぺんてるがコクヨの知らぬところで第三者と資本提携の協議を進めていたことについて「青天の霹靂だ」と、和田社長に意趣返しをしてみせた。

記者会見するコクヨの黒田英邦代表取締役社長(記者撮影)

ぺんてるには「密告書」が誤算だった。上層部だけで固め、執行役員クラスにすら共有していなかった極秘文書が、何者かによって外部にリークされたからだ。

社内の極秘文書をコクヨに送ったのは誰なのか。文書には具体的に何が書かれてあったのか。ぺんてるはもちろん、コクヨもその中身については伏せたままだが、東洋経済は業界関係者への取材を通じて、その文書を入手した。

文書に記されてあるのは、コクヨの支配力を弱めるにはどうすればよいか、の策だ。「K社による子会社化を防ぐ」ためとして、プラス社が、コクヨの持分割合を上回る「40%」を保有する案が挙がっている。40%という数字は、コクヨが持つ約38%よりは多く、かつ、ぺんてるを子会社化する過半数には満たない、そのような数字だ。

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