日本人の消費変える「定額制」の知られざる進化 デジタル系だけでなくアナログの世界でも

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そういう意味では、あらゆるデジタルコンテンツはサブスクで提供することになるだろうし、デジタル系のサービスは安価なまま、今後も一般消費者に提供され続けていくはずだ。

そして、従来はアナログだったビジネスもIT革命の恩恵でデジタル化されたとき、サブスクに生まれ変わることができると考えていい。例えば、配送システムの近代化や商品提供の場をPCやスマホなどに限定するといった方法で、アナログビジネスはデジタルに進化する。そういう意味では、サブスクのビジネスの成長性は大きいのかもしれない。

実際に、サブスクは今後も拡大するとみる人が多い。『サブスクリプション・マーケティング――物が売れない時代の顧客との関わり方』(英治出版)の著者アン・H・ジャンザー氏は「5年以内に全てのものにサブスクリプションという選択肢が生まれる」と述べている。

矢野経済研究所も、サブスクリプション・サービスの国内市場規模は2018年度の5627億円から2023年度には8623億円に拡大する見通しであると発表している。

デジタル化への進化がないサブスクは厳しい?

問題は、デジタル化への転換の度合いがよく見えないアナログ系サブスクだ。単なる定額課金では苦戦する可能性が高い。例えば、キリンビールは工場直送のビールを自宅に届けてもらってサーバーで楽しむことができるサブスクも、最近になって再開したがサーバーの開発などで一時的に停止するなどつまずいた。

サブスク先進国のアメリカでは、こうした食の定額サービスが一時期受け入れられたものの、2018年7月には大手のシェフド(ロスアンゼルス)が資金繰りに苦しみ事業を停止。同業他社も2018年に入って大幅な減益に苦しんでいる。いずれも、食材をパッケージ化して定額で宅配するサービスだ。

日本とアメリカとでは、当然ながら消費者の嗜好が異なるため一概には言えないが、少なくても食品の場合は飽きられてしまうという大きな落とし穴がある。つねに新しいスタイルや味を提供できなければ未来は厳しい。先に紹介したラーメン食べ放題やコーヒー飲み放題、車系のサブスクもデジタル化への進化がよく見えない。

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