宇宙から見た地球のため息が出るほど美しい姿 JAXAエンジニアの「強い思い」から実現した

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リコーの中でも議論を重ね、「やってみよう」と参加を決めた。2018年JAXAとリコーは相互連携に関する覚書を締結し、共同でカメラの開発を始めた。

開発したカメラの外観

澤田たちはまずリコーが市販するシータをベースに、宇宙空間の温度、真空、放射線(宇宙線)など、宇宙環境に耐えるための実験を開始。

放射線に耐えられるかどうかが開発のキモになるそうだが、「やってみると思ったより大丈夫だった」(澤田)と振り返る。市販品でも半年から1年は宇宙空間で耐えられるということがわかった。

それから何度も何度も実験を重ね完成。澤田を含めJAXAやリコーの技術者の思いを詰め、2019年9月25日に冒頭のこうのとり8号機に積まれ宇宙へ向かった。

宇宙から見た地球

無事に、宇宙船外での360度の全天球静止画・動画の撮影に成功し、宇宙からの映像が届いた。真っ青なブルーのなんとも言えない美しい色の地球を見ることができる。

一定間隔で連続撮影した写真をつなぎ合わせて編集し、1つの動画にしたタイムラプス動画。「国際宇宙ステーション(ISS)で撮影された360°動画 〜地球一周 後半〜」(RICOH THETAより)

今後、JAXAはこの技術を宇宙探査機などの船外モニタカメラとして活用を目指すという。リコーも360度カメラや関連するサービスをさまざまな産業分野・用途へ展開していくという。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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