鳩山政権で建設・不動産業界はどうなる? 影響度を一問一答《特集・不動産/建設》
また、多様な賃貸住宅を整備するため、家賃補助や所得控除などの支援制度を創設。定期借家制度、ノンリコース(不遡及)ローン、リバースモーゲージ(住宅担保貸し付け)の普及促進を図る。さらに、木材住宅産業を「地域資源活用型産業」の柱とし、推進する。ただ、詳細な実行計画については今のところ不明だ。
Q5 亀井静香・金融担当相の「モラトリアム」発言で不動産株が急落したが、そうした政策が実現する可能性は?
亀井氏は就任早々、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を3年程度猶予する「モラトリアム法案」を今秋の臨時国会に提出し、早期成立を目指す考えをブチ上げた。もし成立となれば、金融機関は収益が悪化し、住宅ローンを含めた新規融資を抑制するとの見方から、銀行株や不動産株が売られた。
日本では戦前、関東大震災時に震災地限定で30日間、昭和金融恐慌時に全国で21日間モラトリアムが発動されている。今回の経済危機でも中小企業の金融逼迫は厳しいが、「3年程度」という長さや、借り手の対象があいまいなことから銀行業界などは強く反発している。債務者のモラルハザード(倫理の欠如)を招き、貸し渋りも助長するといった批判も多く、政権内部にも慎重論がある。
亀井氏の最近の発言からすると、自身も「一律3年」に固執しているわけではない。また、鳩山首相は「元本のみの返済猶予」に関して具体策を検討すべきと述べており、金利は対象とならない方向。最終的には「貸し渋り・貸し剥がし対策法案」として国会に提出されるとしても、期間や債務者の対象範囲はかなり限定的になる可能性が高いとみられる。
Q6 今年から最大控除額500万円(10年間)に拡充された住宅ローン減税は、新政権下でも続くのか。
今年の自民党政権の経済対策で拡充された住宅ローン減税は今年から5年間の時限措置。今年、来年の入居者の減税枠は最大500万円(長期優良住宅は600万円)で、11年からは枠が縮小される。