浅田真央とキムヨナ選手に見る一流の働き方 自分で満足できる仕事をしているか?

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冬季オリンピックに見た一流の働き方

さて、たまたま今、冬季オリンピックが開催されているので、そこから所感を述べたい。まず葛西選手の銀メダルがこんなにうれしいのはなぜだろう。そういえば私の仕事の先輩も、日頃はクールなやり手の億万長者なのだが、「朝起きて見て、泣いてしまった」と、いたく感動していた。私も別に競技自体には何も関心がないのだが、やはり葛西選手が41歳という競技人口の中ではかなり高齢なことと、亡きお母様に対する純粋な孝行の気持ち、また亡きお母様の息子さん、娘さんへの深い愛情がひしひしと伝わってくるからではないか。

人はこのように「ストーリー」がよく見える相手に、感情移入して応援するものである。逆に言えば、自分自身を振り返ったときに「人から応援されるようなストーリーがあるかどうか」を考えると、自分の位置づけが見えてくることであろう。

実際に、機能的な差別化があらゆる分野で難しくなっている昨今、自身のコモディティ化を避けるためにも、自分自身のストーリーを打ち出すこと(別に葛西選手が打ち出しているわけではないのだが)が非常に重要になっているといえよう。

キムヨナ選手の銀メダルと浅田真央選手6位に思うこと

さて、話は本題に移って、今朝方、終わったフィギュアスケートの女子の部であるが、金メダル、銀メダルともにこけまくっていた男子の部と異なり、きわめて高いレベルで接戦が繰り広げられた。浅田真央選手のSPでの転倒は非常に残念だと韓国でも報道されてたが、フリーの最高の演技には賞賛の声が書き込まれている。

ここですごいと思うのは、前日のショートでの失敗にもかかわらず精神を立て直し、見事に納得のできる自己最高演技をやりきったことである。強いプレッシャーの中、メダル獲得はならなかったが「自分がやりたいと思っていた演技ができた」と満足する浅田選手に拍手喝采を送りたい。なお(葛西選手と同じく)今は亡きお母さんへの恩返し、というストーリーも、最近涙腺の緩んできた私には訴えかけるものがあるのだ。

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