「中銀デジタル通貨vs.リブラ」の構図が鮮明に

「現状改善は既成権力が行う」という意思表示

また、国際決済銀行(BIS)は今年10月の報告書「中央銀行、財務省、規制当局そして関連する国際機関に対し、支払いや金融サービスの効率性を改善し、コストを下げていくためのロードマップを描くように促していきたい」と提案している。その上で、「中央銀行は個別としても、集団としても、各政策領域においてコストとベネフィットの観点から、中銀デジタル通貨(CBDCs)を発行することの妥当性を評価すべき」と論じている。中央銀行のサロン的存在であるBISからこのような見解が発表されていたことは重要と考えられる。

いずれにせよ、「中銀デジタル通貨を対抗軸としてリブラのような民間通貨を駆逐する」という発想自体は もともと予想されたものである。とはいえ、ECOFIN の承認を経て、正式に欧州からリブラやそれに 類似する試みが排除・根絶されることになることは重要な節目と考えられる。

フェイスブックも中国もダメ、先進国の権力機構で

これまで、リブラが認められるとしたら1つのナローパスしかないと考えられていた。それは「中国にやらせるくらいならフェイスブックにやらせた方がマシ」という消極的な発想である。

実際、今年7月に行われたアメリカ下院金融委員会での公聴会でリブラ開発責任者であるフェイスブック幹部のデービッド・マーカス氏は「われわれがやらなければ他の誰かがやる」と、述べていたし、10月にはブルームバーグのインタビューに対し「5年以内に、われわれが良い解決策を見つけられなければ、基本的に中国の支配下にあるブロックチェーン上で稼働するデジタル人民元を通じて世界の大部分が再接続されるだろう」とさらに踏み込んだ発言を行っている。

確かに、「中国かフェイスブックか」という二者択一ならフェイスブックに・・・という判断はありえなくもないように思える。だが、「フェイスブックにやらせるくらいなら皆(先進国)でやったほうがマシ」という判断も同時にありえた。

今年8月に開催されたジャクソンホール経済シンポジウムでは、カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁が法定通貨のバスケットで構成され、中銀ネットワークを通じて供給される「合成覇権通貨(SHC:Synthetic Hegemonic Currency)」がドル一極支配の不健全な現状を打破するアイディアになるという見解を表明している。

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