「ヤバい暗殺事件」闇に葬ったサウジ仰天の変貌 ムハンマド皇太子の改革が急ピッチで進行中
だが、「サウジは脱石油に向けて改革を進めていかざるをえず、過去を振り返る暇がないほどに改革のスピードは速い。政府や実業家の多くは前を向いている」(在リヤドの実業関係者)のが実態だ。
ムハンマド皇太子の改革を圧倒的に支持するのは、人口の7割を占める30歳以下の若者たち。在リヤドの実業関係者は「若者たちは改革の内容やそのスピードに満足している。改革のさらなるスピードアップを望む声もあるぐらいだ。
だが、45歳以上の世代は、あまりにも改革のスピードが速く、もう少し変化の速度を遅くするよう求める人たちもいる。とくに宗教保守層にはそうした声が多いが、今のところは不満が抑え込まれている」という。
「数年後はドバイのように」
ビジョン2030では、労働市場で進むサウジ人政策(外国人労働者の割合を減らす)を強化し、女性の社会参加も促して外国人労働者の国外送金を減らすほか、国内で映画などの娯楽を増やす。女性が運転する光景は当たり前になったほか、リヤド市内だけでも現在十数軒を数える映画館が、年内には30軒に増加するという。
10月末には、アメリカのプロレス団体による女子プロレスがサウジ史上初めて開催された。コンサートでは男女同伴が認められ、「数年後にはドバイと比較しても遜色がないほどの開かれた地域になる」との声もある。
在リヤドのサウジ人は「働く女性を増やす政策は進展しており、あちこちで女性の労働者がみられるようになった。雇用者側も女性を積極的に採用しており、男性にとっては逆差別のような状況になっている」と訴える。
サウジ人政策は、一時的には優秀な外国人を減らしてサウジ人を採用せざるをえない場合もあり、「教育など人材の質が向上していくにはある程度の時間がかかる」(政府関係者)と、過渡期的な問題も生じている。
一方、サウジ政府は観光業も経済の柱として育てることを狙っている。外国人に対して観光ビザも解禁された。最近サウジを訪れた日本人は「決してきれいとは言えなかった空港も見違えるようになり、お土産屋さんもできて、観光地としての魅力は徐々に高まっていくだろう」と評価する。すでに、中国人観光客が大挙して訪れているとの報道もある。
サウジで今、目立つのは若者たちの活気ある姿だ。首都リヤドなどでは、芸術や文化、技術に関する催しが相次いで開催されており、若者たちが自由に表現している。最近、あるイベントを訪れた前出の日本人は「アートのレベルは皆とても高く、別に本業を持ちながら独学でアートをやっている人も多かった」と言い、向上心のある若者も目立っている。
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