プラスチックごみ「再生」のまだまだ静かな歩み P&Gが海洋ごみを容器原料とする技術を確立
カワバタ氏は、日系アメリカ人。テラサイクル(本社・アメリカ・ニュージャージー州)は、2002年にアメリカ・プリンストン大学の学生だった創立者が、「捨てられている材料を利用して革新的で手頃な値段の製品を作る」事業を始め、2009年からはイギリス、カナダなど海外に乗り出し、現在は21カ国でリサイクル事業を行っている。
プラスチック循環利用協会作成のマテリアルフロー図(2017年版)によると、日本で出るプラスチックごみの総排出量は年約903万トン。このうち、単純焼却(8%)と埋め立て(6%)を除く86%がリサイクルされている。しかし、そのうち68%(903万トンのうち58%)はサーマル・リサイクル(エネルギー回収)で、プラスチックを燃やすと二酸化炭素排出が増えてしまうことが課題になっている。
燃やすのではなく、再生利用(マテリアル・リサイクル)されるのは、23%にすぎない。再生利用は、プラスチックごみを原料にして、ベンチ、フェンスなど土木建築、公園、農林水産用品など新たなプラスチック製品を作る。
ペットボトルの場合、回収して不純物を除いた後、選別、粉砕、洗浄してフレークやペレットという再生材料に変え、文具、洋服などさまざまな製品に生まれ変わっている。しかし、再生製品や再生材料の利用先がなかなか増えないことがネックになり、再生利用自体が伸び悩んでいる。
そんな状況の中、食品容器や飲料メーカーが自ら乗り出し、使用済み製品をもとの製品に戻す取り組みが注目を集めている。
「エフピコ」のトレー to トレー
スーパーやコンビニに並ぶトレーのトップメーカー、エフピコ(本社・広島県福山市、東京都新宿区)は29年前の1990年から、全国のスーパーの店頭などの回収拠点約9200カ所で、発泡スチロール製トレー、透明なプラスチック容器、ペットボトルを回収している。
エフピコのリサイクルは以下の流れで行われている。
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