円谷プロ「ウルトラ怪獣」が絶対悪ではないワケ

小山薫堂「かいじゅうのすみか」への思い

ウルトラマンの原点に立ち返り、「ULTRAMAN ARCHIVES」として35ミリ制作のウルトラQが生み出されてきた背景を深掘りするプロジェクト立ち上げた後、『シン・ウルトラマン』と並行して取り組んできたのが、円谷のキャラクターを特徴づけている”怪獣”の魅力を再度、掘り起こし現代にそのコンセプトを蘇らせることだった。

絵本の『かいじゅうのすみか』(写真:円谷プロダクション)

たとえば怪獣の個性を生かした絵本『かいじゅうステップ』は、幼児向け雑誌『めばえ』で連載しながら、NHKでも教育アニメとしての放送が開始している。ウルトラマンは登場せず、個性的な怪獣たちが「はじめの1歩」を踏み出していく様子が描かれる。そこに勧善懲悪の要素は一切ない。

「怪獣はウルトラシリーズが制作された時代にあった、差別や公害などの社会問題を怪獣として表現していました。怪獣を倒すだけならスペシウム光線一発で解決します。でもウルトラマンは”悪を成敗”しているのではなく、格闘を通じて問題に取り組み、最後に”鎮魂”の思いを込めてスペシウム光線で成仏させる。オリジナルのウルトラシリーズは、怪獣の出自を描くことで”絶対正義”の勧善懲悪にならないようクリエイターが世界観を描いていました」(塚越氏)

そうした思いから生まれたのが、”かいじゅうのすみか”というプロジェクトだった。

子どもたちに「解決する場」を提供したい

これまでウルトラマンとの直接のかかわりがなかった小山氏は、なぜこのプロジェクトに参加することになったのか。

それは子どもたちが日々の生活の中で、自分たちで問題を発見し、解決していく場を提供したい。そうした思いで塚越氏と意気投合したからだという。

「あるとき神戸の駄菓子屋さんから手紙が届いたんです。”駄菓子屋という場”をメディアで発信していきたい。あまりに熱心なので実際に足を運んでみました」(小山氏)

すると、そこには本当に昔ながらの、しかしよく考えられた夢の世界に出てくるような駄菓子屋があった。

「儲けなんてありません。1つ20円の駄菓子で2円の利益。1回万引されたら、それこそ取り戻すのが大変だけど、それでも子どもたちに必要だからと続けていらっしゃいました。駄菓子屋は子ども社会の縮図で、そこで仲よくなったり、悪いことをして叱られたり、守ってくれる上級生や友達がいたり。そんな駄菓子屋さんでの気付きをあたえるコンテンツを創りたい」

案内人を引き受けたのは、そんな思いからだった。

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