円谷プロ「ウルトラ怪獣」が絶対悪ではないワケ 小山薫堂「かいじゅうのすみか」への思い

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入場料は中学生以上1900円、3歳~小学生1000円(写真:円谷プロダクション)

「すでに絵本の制作は進み、イベントの設計や企画も上がっていましたが、そこに”こころ”を入れるために、キャッチコピーや企画全体のアドバイスをいただいて、怪獣にも怪獣の住む世界、生まれてきた事情があったんだと”慮る(おもんばかる)”ことへの気付きが得られる仕掛けに仕上がったと思います」(塚越氏)

「なぜこの怪獣はこんなふうに育ったのだろう? なぜ怪獣の生まれた世界では幸せそうだったのに、人間世界ではいっしょにいられなかったのだろう?」

現代最強の怪獣は「SNS」

個性あふれる怪獣の出自を体験し、その事情から自分自身の”損得”を超えて理解を深める。子ども時代、まだ現実社会の一部しか知らないころにあった”空想力”。あらゆることを解説し、どう解釈するかを押し付けるコンテンツが増加している中で、自ら参加し、想像し、感じて帰れることを目指したという。

東京ドームシティのイベント向けには、専用のARアプリも用意。かいじゅうたちのすみかでアプリを使うことで、隠れている怪獣を発見するといった仕掛けもあるようだ。

アトラクションのイメージ(写真:円谷プロダクション)

「かいじゅうのすみかには、大人の目線からは見えないもの、忘れていたものがたくさん見つかります。おとなになると、いつしか空想する歓びを忘れてしまう。

子どもの頃、遊園地のゴーカートが大好きだったんですよ。父に連れていってもらい順番待ちをしているときにワクワクしてたまらないのに父はつまらなさそうにしてる。なぜ?ってたずねたら”ここに来るまでに運転してたんだぞ”って。まだ経験が未熟な、知識や記憶に余白があったあの頃にタイムスリップしてもらえます」と小山氏。

そんな思いが込められた「かいじゅうのすみか」を通じて、”現代の怪獣”についても考えてほしいと小山氏は話す。

「たとえば学校でのイジメ。SNS時代になって、イジメも変容してきています。ネットを通じると人格が変わってしまい、ある種の怪獣のようになってしまうこともあります。普段はおとなしく、他人に危害を加えるように見えないのに、ネットでは怪獣になってしまうのはなぜだろう? そう子どもたち自身が考える出発点になってほしい」(小山氏)

「かいじゅうのすみか」は、2020年1月26日まで開催されている。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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