「話がつまらない人」と面白い人の決定的な差 魅力的な話をするためのポイントとは?

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基本的に人は、ストーリーに織り込まれる事柄が、「こんなにもうまくいった」「じぶんすごい!」という情報だけだと、その人や会社に対して悲しいかな、嫌悪感を持ちます。

嫌な自慢しいの奴とでも言うのでしょうか。結果、よく見せたいのに、これでは、逆効果となってしまいます。

人生、うまくいくことばかりではないのは、全人類共通の実感としてあるのに、そのうまくいっていないことは恥として隠す。まだ、昔であれば隠し通せたかもしれないですが、インターネットがあり、全人類ジャーナリストとなった今、隠すことのほうがイメージに弊害があることが多くなってきています。

とはいえ、お笑い芸人でもないのに、自分の弱みで惹きつけるなんて嫌だなと思う人も多いでしょう。ただこれは何も現在進行中のうまくいってないことや、問題をリアルタイムで開示して、自分を切り売りするということではまったくありません。

過去にあったうまくいかなかったこと、失敗した話など、そこからの教訓や、復活、修復の仕方などとセットで弱さを共有することで、魅力的なストーリーとして人の心に響きます。

エンゲージメントを強固にするのは人間味

マーケティングの世界に「エンゲージメント」という言葉がありますが、これは人や、企業、商品、サービス、ブランドなどに対してお客さんがどれだけ愛着を持っているかの状態を測るものです。

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このエンゲージメントが強ければ強いほど、商品やサービスを新たに買ってくれる、または継続的に買ってくれることになります。

例えば、ミュージシャンや俳優のファンの方に多かったりしますが、彼ら、彼女らが何かしら軽度の不祥事を起こしても、その関係性が崩れることがほぼない関係。これこそが本当にエンゲージメントが高い関係だと言えるでしょう。

誰しもがじぶんのことを世間に公開して、いろいろな批判にさらされ、平常でいられるハートを持っているとも思わないですが、なんらかの関係性を望むために、じぶんを公開することを選ばれた人は、ぜひうまくいっている面だけでなく、うまくいっていなかった面、プラスそこからの復活も見せることを意識してストーリーを演出してみるといいでしょう。

個人なら、過去の恋愛話、先生や上司に怒られた話、イキがっていた時代の香ばしい話、組織なら、業績が悪かった商品やサービスの話、返品が相次いだ話、開発時のもめ事などなど、いろんなお話が人の心をつかみます。

これらは総じて人間味があるから、面白いのです。そう考えると、いろんな演出よりも、等身大の人間がいちばんのコンテンツなのかもしません。

熊野 森人 クリエイティブディレクター

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くまの もりひと / Morihito Kumano

1978年生まれ。大阪府出身。大阪市立工芸高等学校映像デザイン科卒。IAMAS(岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)特別研究課程修了。株式会社エレダイ2代表取締役/クリエイティブディレクター。株式会社ゆっくりおいしいねむたいな代表取締役。京都精華大学や京都造形芸術大学では講師も務める

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