若者が「辞める会社」「辞めない会社」の致命的差 会社を去るのではなく嫌な上司から去るのだ

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そこで言いたいのはマネジャーたるもの、部下のキャリア志向、将来どんなキャリアを歩んでいきたいのかを知るべしということです。「何を当たり前な」とおっしゃるかもしれませんが、私の知る限り、多くの会社でマネジャーは部下のキャリア志向を残念ながら知りません。研修やワークショップなどで書いてみてもらっても、薄い情報しか出てこないのが悲しいかな、現実です。

忙しい日常の中、短期的な業務上の連絡や指導はしていても、キャリアのように中長期にわたるテーマについてじっくりと話をする機会は少ないようです。だからあえてキャリアをテーマに話す1 on 1ミーティングがはやっているのかもしれません。

人がやめない会社とは?

まとめますと、人がやめずにいつく会社というのは、「入社時のストレスを十分認識して、それを軽減するために、リアリティーショックを避ける情報提供をしたり、相性に合わせた配属を考えたり、キャリア志向を大切にしてその実現をサポートする」ような会社ということです。

もっと簡単に言えば、会社の中の個人が置かれている環境を想像して、それに沿ったケアをしてあげているというだけのこと。これがよく言われる「人を大切にする」ということではないでしょうか。

優しく接していれば大切にしているということではない。マネジャーが部下のために想像力を働かせることが、「人がやめない会社」の第一歩と言えるでしょう。

曽和 利光 人材研究所 社長

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そわ としみつ / Toshimitsu Sowa

株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して諸事業を展開中。著書等:『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)など。

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