大ヒット作に学ぶ、「映像コンテンツ」戦略

企業価値を上げる映像コンテンツ3つのポイント(上)

この映像に登場するのは、インド・デリーに住むひとりの老人と、その孫娘。2国が分離する前に、兄弟のように毎日を共に過ごした親友の行方がわからなくなってから、はや60年。涙を浮かべながら、パキスタンのどこかにいるはずの親友にもう一度会いたいと請う祖父の姿。

孫娘はGoogleのテクノロジーを活用し、祖父がこぼしたヒントをたどって、その親友の行方を探し出すことに成功する。祖父の誕生日当日、玄関を開けるとそこには、探し求めてきた親友の姿が。涙をこぼしながら再会を喜ぶ2人。不可抗力の力で引き裂かれた2人の親友が、Googleのテクノロジーの力によって、再び結束することができたのだ。

さて、このビデオが掲載されているYouTubeページの解説欄には、次のようなことが書かれている。

Google Search helps you find whatever you're looking for.

そのまま訳すと、「Google Searchは、あなたが探しているもの、それが何であれ、見つけるお手伝いをします」となる

Googleが勝ち取った信頼

分離から60年以上経過するインド・パキスタンの人々にとって、2014年現在でも「分離によって別れた人々との再会」は重要な人生の目標であり、時の経過が癒やすことのできない深い心の傷の存在を表している。そこに、Google Searchというサービスが登場し、人々の願いをかなえたのだ。完全な情報を持っていなくても、地名などのキーワードから目当ての場所の住所や電話番号まで検索することができる。しかも無料で。さらには、パソコンだけでなく、スマートフォンからの検索も可能だ。フライト情報からビザの手配、天気予報まで、「再会」に必要な情報はすべて、Google Searchで魔法のように手に入れることができるのだ。

その再会を実現するために、一心に行動する熱意ある若者の姿は、インドの若者たちに共感と親近感を与えるストーリーとして、受け入れられた。

つまりGoogleは、インド・パキスタンが抱える「分離」という社会問題を、「Google Search: Reunion」というショートフィルムの形で描き出し、その問題を解決する神秘的存在というストーリー性を見事に表現し、自身をブランディングすることに成功した。この時点で、「Googleは、インド・パキスタン問題に翻弄されてきた人々の願いをかなえるブランド」としての認識が誕生する。つまり、Googleはこの1本の映像によって、社会問題を解決することのできるブランドとして信頼を勝ち取り、インド・パキスタン社会における意義ある存在として、企業価値をも向上させることに成功している。

ちなみに、インド国内のインターネットユーザー数は1億5000万人ほど。デスクトップ、モバイルなど、Googleへのアクセス方法もさまざまだ。また、Google Indiaが掲げる重要な哲学のひとつに、「Googleのユーザーは賢くスマートな人々である」が挙げられるそうだ。「Google製品は、スマートなユーザーに対し、もっとスピーディに、もっと多くの情報を提供することができる」。そんなメッセージが体現されている。

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