トランプ弾劾が日本に与える結構デカいリスク

より衝動的な外交政策を打ち出す可能性

アメリカ議会が罷免の決議案を採択し、上院での裁判へと至ったのは、19世紀のアンドリュー・ジョンソンとビル・クリントンに対するわずか2回だけである。上院はいずれのケースも大統領を罷免しない決定をした。3人目の大統領、リチャード・ニクソンは、彼が同様の運命を辿ることが明らかとなった際に辞任している。

3つの弾劾事件はすべて、ホワイトハウスでの権力の座に就いていない政党が議会を率いるという、アメリカの歴史の中で深く分断された瞬間であった。この状況がどのような結果を生むにせよ、アメリカは政治的内戦の危機に立たされそうである。

次回G7開催地は白紙撤回

すでに明らかなのは、弾劾の見通しが大統領のすべての時間を蝕んでいることであり、それは大量にあふれるツイートや、最近の自らの言動を擁護しようとする試みに現れている。弾劾の危機に瀕して、トランプ大統領は以前に増して衝動的な外交政策を推し進めている。

「国内の政治的危機は、外交政策上、トランプ大統領がよりトランプ大統領のように振る舞うという結果につながっている」とラッセル氏は話す。「シリアのクルド人に対するトルコの動きを容認するといった広範囲に影響をもたらす決定は、国家安全保障チームでの議論や意見を聞くと言ったプロセスを経ず、その場で行われている」。

「また、次回のG7(先進7カ国)首脳会合の場所に自らの親族が運営する施設を選ぶという傲慢さは、共和党からも強い政治的反発を買い、珍しく撤回を余儀なくされている」

弾劾問題によって、トランプ大統領がさらにリスクを冒す可能性は高くなるのだろうか。それとも、共和党からの抵抗をおそれて、その可能性は低くなるのだろうか。今のところ、この疑問に対する明確な答えはない。

トランプ大統領が自身の問題に巻き込まれすぎて、外交政策に関わる暇がない、という有識者もいる。「弾劾の問題を抱える中、今後12カ月に大統領が何か大きなことを成し遂げる可能性は良きにつけ(北朝鮮との協定)悪きにつけ(同盟のコミットメントからの撤退)低いのではないか」と、オバマ政権下の駐モスクワ大使でスタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際教育研究所のマイケル・マクフォールは話す。

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