貧しくても「読む力」があれば世界は変わる

ブレイディみかこ×新井紀子「教育」を語る

新井:政府が悪い、社会が悪い、と考えます。その良しあしは別として、何でも自己責任だと思わされてしまうと、1人ひとりが砂粒みたいにばらばらになって、結局、統治者の言いなりになってしまいます。そこを、「それは社会が悪い」と言い続けているのは、やっぱり偉いと思うんです。

日本では、例えば、成功したお笑い芸人みたいな人までが、「それは自己責任だろう」と言っちゃうわけです。「俺は努力して成功した。やれなかったやつは自己責任でしょう」って。だから、日本の芸人はロックじゃないんだよね。

「一億総中流」は幻想だった

ブレイディ:私の夫もそうですが、労働者階級っていうのは、それをまとって生まれてきたら一生脱げないものだと思っています。

だから、どんなに出世してお金持ちになっても、どんなに有名なスターになっても、自分は労働者階級だって言うんです。それは、つまり、格差があるのは、自己責任ではなく政治や社会が悪いということです。

新井:それが、日本では、政治の責任だと言えばいいのに、自己責任だ、となっちゃいます。

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ブレイディ:何でしょうかね。

新井:日本は敗戦で一度全部チャラになって、その後の高度成長期に、「頑張ればみんな豊かになれる」という風情があったんだと思うんです。それが逆によくなかった。それが「一億総中流」という幻想を生みました。

ブレイディ:絶対幻想ですよ。うちは中流ではありませんでした。貧乏でしたからね。私はその外にいると思っていました。

新井:「一億総中流」というときに、「いや、うちは違います」は言っちゃいけないことだったんですね。それがよくなかったと思います。

(構成:岩本 宣明)

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