アドテクの超新星は、どこまで成長できるか? ビッグデータ活用も見据える、DSPの雄・フリークアウト

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

リターゲティングは一度でもそのページを閲覧した場合に、違うページを閲覧すると、その広告が表示される。DSP広告では閲覧者の行動履歴を基に広告を表示する。たとえば、求職系のキーワードを検索していたり、転職先企業の口コミ情報などを閲覧している履歴があれば、ターゲットユーザーであると判断される。

「航空会社さんの会員のデータを活用した広告配信の説明をしましょう。たとえば、スキーに行く可能性がある人を閲覧履歴などから算出して、北海道にスキーに行く国内ツアーの広告を表示させます。閲覧者の属性をデータ分析を基に広告配信できるため、狙った商材を売りたい際に成果につながりやすい。実際に高い広告効果を実現できるはずです」

このようなデータをフリークアウトはためており、そのデータを活用したDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)事業を手掛ける株式会社 Intimate Merger(インティメート・マージャー)を他社と合弁で2013年6月に設立している。RTBという成長市場に身を置きつつ、ビッグデータ活用という次世代ビジネスにも布石を打っている。

海外の主要DSPであるRocket fuelは2013年9月にNASDAQに上場。まだ赤字ながらも時価総額約2100億円に達している。Criteoも同様にNASDAQに2013年11月に上場。約1700億円の時価総額をつける(両社の時価総額は2014年1月19日現在)。

海外でのDSP銘柄の加熱ぶりはRTB市場の伸びの期待を受けてのことであろう。日本においてはフリークアウトがこの市場を牽引し、広告会社の勢力図を塗り替えつつある。枠売りだけの広告代理店の存在意義はますますなくなっていくであろう。

【梅木雄平のスタートアップチェック (各項目を1~5で採点)】
●経営陣 :4.5  佐藤祐介COOに未来を見据えたキレ味がある。
●市場性 :4.5  国内海外共にRTB市場の成長余地は大きい。
●利益率 :4.2  従来の広告事業よりも自動化+コンサルテーションの余地が増えたため、ダンピングされにくく利益率は改善している。ビッグデータ関連事業によりさらに利益率を押し上げる余地があると見る。
●競合優位性:4.0  DSPの中でもダイレクトマーケティングではなくブランドマーケティングに強みがある点は優位性がある。
●海外展開力:3.5  先行して上場したRocket fuelやCriteoとどう戦うか。まずは国内市場の足固めが先と思われる。
●総合点 :4.5  2014年中に上場するのであれば、かなり期待値の高い銘柄となる。枠売り中心のオプトやセプテーニのような広告代理店より高い評価を受けることは間違いなく、RTBという成長市場の中で高い存在感を示すだろう。さらなる成長余地はビッグデータ関連事業と海外展開にかかっている。その2点の伸びが期待できれば時価総額1000億円も十分にありうる。
●予想EXIT :2014年中の上場
●上場時推定時価総額:500億~700億円
 推定根拠:海外のDSP事業者の期待値の高さとフリークアウトの営業利益が2ケタ億円に乗っていると推測し、PER40~50倍で推定。

(撮影:梅谷秀司)

梅木 雄平 The Startup編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うめきゆうへい

慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェント子会社にてベンチャーキャピタル業務などに従事。複数のスタートアップ企業での事業経験を経て、2011年フリーランスとして独立後2013年に株式会社The Startupを設立。スタートアップ業界のオピニオンメディアThe Startup編集長を務める。著書に『グロースハック』がある
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事