安易にリツイートする人が抱える「責任の重さ」 知らずと名誉毀損リスクにさらされることも

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岩上氏は今回の判決を不当として控訴。法的な最終決着は上級裁判所の判断に委ねられ、予断を許さない。ただ、今回の判決によって、SNSの基本である共感の意思表示だけで法的な責任を伴う可能性が誰にもありうることを示した点は、SNSユーザーとして注意する必要がある。

多くのSNSユーザーは、あまり深く考えずにフェイスブックでシェア、ツイッターでリツイートをしている。タイムラインに流れてきた投稿記事に、直感的に反応するというのは、よくあることだ。

フォロワーが多い人はリツイートも気軽にできなくなる

問題は、その投稿内容がどういう類のものか、よく考えずに拡散してしまうことだろう。多くの人のSNSのタイムラインには、たくさんの投稿が目まぐるしく流れてくる。それをスクロールしながら、半ば条件反射的にクリックをしている人は少なくない。

今回の判決でどうしても違和感があるのは、リツイートを「賛同した行為」として事実認定した点だ。岩上氏のフォロワーが18万人いるというのも、今回の判決に影響しているかもしれない。ただ、今回の岩上氏のリツイートが賛同を表したものと裁判所が判断したとしても、リツイート自体を「賛同した行為」とひとくくりにできるのかについても疑問は残る。

SNSの利用者はわかると思うが、いいね!やリツイートは、賛同する行為だけではない。人はなぜ「いいね!」やリツイートをするか? それは他人と「情報共有」して「なにか」を伝えたいという想いがあるからだと思う。

その「なにか」の中身は、例えば次のようなことかもしれない。

1. 人の役に立つ情報と思ったから
2. 倫理的に許せないと思ったから
3. 単におもしろい、笑えるから
4. 可愛い、きれいと思ったから
5. ブックマーク(備忘録)代わりとして
6. 確認したよ、観たよ(既読)の意味で
7. 応援したい、助けたいから
8. 投稿(記事)に賛同するから

まだほかにもあるかもしれないが、これぐらい、「いいね!」やシェア、リツイートには幅の広い意味や使われ方がある。とはいえ、表現の自由には制約が伴うこともあり、情報共有のあり方と拡散の意味を問い直す必要を生じさせる法的判断といえよう。

ネット上では自らの投稿や書き込みだけではなく、他人の投稿、書き込みを拡散する場合にも注意が必要と考えたほうがいいだろう。以下のような罪に問われる可能性がある。

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