ジム・ロジャーズ「移民を恐れる残念な日本人」

「移民は日本人の雇用を奪う」は狭すぎる発想

介護や家事労働者を教育して派遣するようなエージェントビジネスも利益を上げられるかもしれません。教育ビジネスにもチャンスがあるとロジャーズ氏は言います。日本の大学は18歳人口の減少で経営が圧迫されつつありますが、世界を見渡せば、インドなどのように大学が不足している国はたくさんあるからです。

ロジャーズ氏は、外国人向けの飲食ビジネスも見込みがあると考えています。例えばシンガポールにはハラルやヴィーガン(動物性食品も食べない完全菜食主義者)対応の飲食店はたくさんありますが、日本ではまだまだ不足していると思います。ニッチなフィールドで移民向けビジネスを起こし、財産を築ける可能性もあると言うのです。

エリート駐在員は日本よりもベトナムで働きたい

世界有数の金融グループHSBCホールディングスは今年7月、「各国の駐在員が働きたい国」の最新ランキングを発表しました。日本は、調査対象の33カ国・地域でなんと下から2番目の32位。ベトナム(10位)、フィリピン(24位)、インドネシア(31位)といった国の後塵を拝しています。項目別で、賃金、ワークライフバランス、子どもの教育環境については最下位。外国人の目に、日本は、魅力の乏しい国に映っているようです。

私が以前働いていた外資系金融機関では、外国人の営業スタッフでも日本語ができなければならないといった奇妙なルールがありました。現在、日本政府や企業の多くは外国人労働者に対し、非常に高度な日本語能力を求めています。しかし、外国人を選別するような余裕はないのではないかと思います。むしろ、日本人のほうが英語などの外国語を学び、歩み寄るべきでしょう。

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このままでは日本は、旅行者などの一時滞在者を除いては誰も住んでくれない国になってしまうかもしれません。ロジャーズ氏は、半恒久的に日本に住んでくれる外国人が増えなければ意味がない、と言います。

10月1日から消費税が10%へ引き上げられました。日本の財政から考えると、さらなる増税は不可避ですが、切り札として考えられるのが、移民というカードなのです。これからは女性、高齢者だけでなく、移民も財政の担い手になってもらわなければ、私たちの年金だっておぼつかないでしょう。

ロジャーズ氏は、日本食や日本文化などを愛しています。もし日本が中国語など外国語を話すような国であれば、住んでもよかったと言います。日本が大好きだからこそ、日本のぶざまな姿など見たくないのでしょう。

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