ジム・ロジャーズ「移民を恐れる残念な日本人」 「移民は日本人の雇用を奪う」は狭すぎる発想
ロジャーズ氏は、移民人口比率などをコントロールすれば、社会は不安定にならないと言います。シンガポールでは短期間にあまりにも多くの移民を受け入れたことから、その比率がアンバランスになってしまいました。
そのため、現在は外国人の受け入れや永住権の取得を厳しく制限するようになりました。このように政府が「蛇口」を適切に開け閉めすれば移民を恐れることはない、むしろ移民が新しいアイデア、仕事、資本を持ってくるというのです。
日本は「2025年問題」を抱えています。日本社会に押し寄せる高齢化の波は、まだまだ「序の口」です。2025年ごろになると団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に達します。さらに、団塊ジュニア世代の高齢化の波も続き、2070年ごろまで苦しい時代が続くと予想されています。それに伴い、要介護高齢者も増加するでしょう。介護や家事を移民に頼らなければいけない時代が迫っているのです。
新しい投資対象となる「移民向けビジネス」
日本人にとって、移民は新しい投資対象になるとロジャーズ氏は言います。政府がさらに多くの移民受け入れを認めるようになれば、移民向けの住宅供給や移民エージェントなど、新たな成長ビジネスが生まれるからです。
移民向けビジネスで真っ先に思い浮かぶのは「不動産だ」とロジャーズ氏は言います。
「例えば、日本の古民家は安いうえ、外国人の目には魅力的な場所に映る。とりわけ主要都市の物件はグレード感があり、少なからぬニーズがありそうだ。そうした物件の運営について、外国人従業員を雇用して行うだけでも、利益を見込めるだろう」
現在、空き家問題が深刻化していますが、空き家をリノベーションして付加価値を創出し、外国人に賃貸したり売却したりするビジネスも利益を見込めるかもしれません。海外では、老朽家屋をリノベーションして売却する手法は、ごく一般的です。
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