ついに自衛隊を中東派遣「苦渋の決断」の危険性

一触即発の事態に巻き込まれる可能性も

9月のサウジ石油関連施設への攻撃では、イエメンのフーシ派が犯行声明を出したが、攻撃対象への距離や作戦の規模を根拠に信憑性に疑義が呈され、アメリカはイランが直接的に関与したと主張。一方、アメリカによるイラン攻撃の糸口を作るためのサウジによる自作自演との説も飛び出しており、確定的な情報が乏しいのが実情だ。

10月11日の紅海での「イラン・タンカー攻撃」も謎に包まれたままだ。サウジによる石油関連施設への報復との見方も出たが、サウジのジュベイル外務担当国務相は13日、「まったく関与していない」と否定。サウジは、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)に向けて動いているほか、地域の軍事強国イランと戦火を交えるメリットはないとの見方が一般的だ。とすれば、イランのタンカーを攻撃したのは誰なのか。

互いを批判し合うアメリカとイラン

この事件をめぐっては、イランメディアによるタンカーの船名が錯綜したり、船体の損傷を示す写真の公表が遅れたりして、イランによる自作自演説も流れた。アメリカの政治専門紙ザ・ヒルは「被害者だと見せかけるイランの自作自演説も可能性が残る」と指摘。

これに対し、イランのファルス通信は、アラブ・メディアの報道を引用し、強力な制裁にもかかわらず、イランが石油を輸出し続けることにいら立つアメリカが、イランの石油輸出を停止させる最終手段に打って出たと報じている。

アメリカ説も単純ではない。トランプ大統領は、イランとの戦争には及び腰で、あくまでも圧力によって交渉に持ち込み、2020年11月の大統領選に向けた外交成果にしたい考えとみられている。

これに対し、アメリカ内には、軍需産業関係者や新保守主義(ネオコン)派などイランとの軍事的な衝突を望む勢力がいるとの見方は根強い。解任されたボルトン国家安全保障担当補佐官やポンペオ国務長官は、イランへの武力行使を推進するような言動を繰り返しており、アメリカでは対イラン政策をめぐる綱引きが繰り広げられている。トランプ大統領の弾劾に向けた動きも、イランへの軍事力行使に否定的なトランプ氏と対イラン強硬派との暗闘という見立てで語る向きもある。

イスラエルの暗躍を疑う声もある。世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社ユーラシア・グループは、「ありうる仮説は、イスラエルによる妨害工作だ。目的はスエズ運河に向けたイラン・タンカーの活動を混乱に陥れることだろう」との分析を公表した。

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