伊東孝紳・ホンダ社長--CO2削減目標は厳しいが是が非でも克服していく

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--主力である米国市場の見通しはどうですか。7月下旬から1カ月間にわたる買い替え補助金政策で、ホンダもそれなりに果実は得たようですが(8月の新車販売は14%増)。

それなりのね(笑)。棚ぼたみたいなもの。基本的には失業率も改善していないし、金融市場の正常化が一般のユーザーレベルに浸透しているとも思えない。したがって、非常に厳しく市場を見ている。

こういうときの経営方針は単純。厳しさがしばらく続いても、持ちこたえられるだけの企業の体質づくりがいちばん大事。世界各地とのミーティングも今、そんな議論ばかりだ。

--新政権に対して望まれる経済政策はありますか。

働く人が安心して働けるような環境に関することだ。われわれとしても製造競争力、商品競争力の向上に努力するけれど、いちばん大きい課題は為替です。この円高で輸出競争力を保つのは非常に難しい。

内需だけで今の自動車産業の生産供給を満たすのはギャップが非常に大きい。為替はコントロールしにくいとはいうものの、ベクトルを持って動くべきものでもある。直近(のレート)は国内生産にとって厳しいゾーンだ。

製造現場が海外にどんどんシフトすると、現場がなくなる。製造技術も製造技術者も育たない。ホンダの本社が日本にあっても現場がなければ、どうやって世界をリードするのか、矛盾が生じてしまう。現場を持っていないとダメです。

(聞き手:鈴木雅幸、高橋由里 撮影:梅谷秀司、今井康一 =週刊東洋経済)

いとう・たかのぶ
1953年生まれ。78年本田技研工業入社、本田技術研究所社長、鈴鹿製作所所長、四輪事業本部長を経て今年6月より現職。9月の新技術発表会では、ヒトの歩行研究を応用して作られた「電動一輪車」を左右前後、華麗に乗りこなしてみせた。

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