伊東孝紳・ホンダ社長--CO2削減目標は厳しいが是が非でも克服していく
世界的な自動車不況から1年が経とうとしているが、市場はいまだ停滞を続ける。一方では、地球温暖化防止への国際的な動きが活発だ。自動車産業は歴史的に大きな変節点に差しかかっている。
--20世紀は自動車産業あるいは石油産業の時代でした。自動車産業は今後、環境問題や少子高齢化といった課題を克服し、21世紀にも中心的存在でいられるのでしょうか。
自動車は個人の自由を尊重した移動手段であり、20世紀だろうが、21世紀だろうが、22世紀だろうが、必ず残したいし、残すべきだ。個人の移動の欲求と、それを可能にする自由のある社会ならば、自動車は永続性がある。
--世界は低炭素社会へ急速に舵を切りつつあります。鳩山由紀夫首相が国際公約した、二酸化炭素(CO2)の1990年比25%削減方針に対しては「非常に厳しい」という発言をされたようですが。
それは事実を言ったまでだ(笑)。厳しいからどうだとは述べてない。
2050年にはCO2半減というような目標は大事だし、持続可能な社会をつくることは至上命題でもある。今の技術的な観点で見ると非常に難しいターゲットだが、いつの時代もそうしたものを克服する努力をしてきたし、是が非でも克服したい。独自の技術をバックにして、他社に先駆けてソリューションを出し続ける企業でありたいし、そうならないと生き残っていけない。
--環境対応車の技術は一つの方向に固まっていくのでしょうか。
いや、絶対固まらない。ただ、この20~30年は間違いなくハイブリッドが主になる。