キャッシュレスが急速に浸透し始めた「必然」

メリットがあるのは消費者側だけじゃない

何のために国はキャッシュレス決済を推進しているのでしょうか?(写真:p_saranya/iStock)  
電子マネーにキャッシュレスサービス、仮想通貨(暗号資産)、ブロックチェーン。今、フィンテックという言葉のもとに、あらゆる場面の根幹にある「お金」のあり方が変わり始めた。インターネットと社会の関係を長年研究する著者は、この先「貨幣経済が衰退する可能性は高く、その未来にまったく異なる世界が立ち上がる」と主張する。新著『2049年「お金」消滅 貨幣なき世界の歩き方』から一部抜粋して解説していく。

なぜ急速にキャッシュレスサービスが浸透しているのか

いわゆるキャッシュレスサービスは、なぜ現在になって急激に社会へ浸透しているのでしょうか。

その理由の1つとしては利便性が認識された、ということがあると思います。スマホを用いた決済には、今のところ大まかに2つの方法があり、お店のレジ周辺に用意されたQRコードをスマホのカメラで読み取り、それで支払いをする方法が1つと、もう1つは、スマホの画面にバーコードを表示し、それをお店のレジで読み取ってもらう、といった方法があります。

日本に住む人の多くはクレジットカードや交通系ICカードを持っており、カードをレジで「ピッ」とやる決済方法にすでに慣れています。それもあって、「今さらQRコード?」といった声も聞こえてきます(実際にはコンビニなどではバーコードを読み取ってもらう方法が主流です)。

しかし一度試してもらえればわかりますが、会計のときのユーザー体験は、いずれもさほど変わりません。「何を用いて支払うか」という意思表示をして、自らピッとやるか、それともピッとやってもらうか、という違いくらいしかないのです。

決済のスピードについては、クレジットカード大手会社のJCBが2019年に「決済速度に関する実証実験結果」を発表しています。

それによると、非接触カードが最短で、QRコードはクレジットカードにわずかに劣るとされていますが、いずれも現金よりはるかに速いことがわかっています。

しかし実際に多いのは店舗でバーコード決済をすることで、その場合、レジ作業と並行して支払い側が準備できるので、全体の時間は非接触とそれほどの差が出ないはずです。むしろその場でスマホの画面を通じて残高や利用履歴を確認できる分、非接触カードを使うよりも使い勝手がよいと言えるでしょう。

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