大ヒットに繋がった映画「ジョーカー」の話題性 芸術的評価や賛否意見が期待感膨らませる
『ジョーカー』は、今年の8月31日にヴェネツィア国際映画祭でワールドプレミア上映が行われ、およそ8分間にわたるスタンディング・オベーションが巻き起こった。そしてその勢いのままに、世界三大映画祭(カンヌ、ヴェネツィア、ベルリン)において、アメコミ映画史上初となるヴェネツィア国際映画祭最高賞の「金獅子賞」を獲得している。
大衆向けの娯楽作品として制作されてきたアメコミ映画が、芸術的な評価を受けたというエポックメイキングな作品として、一躍注目の存在となった。
北米プレミアとなった今年9月の「第44回トロント国際映画祭」では、主演のホアキン・フェニックスが、傑出した演技を行った俳優に対する功労賞:TIFFトリビュート・アクター・アワードを獲得。世界中の映画関係者が注目する両映画祭で高い評価を受け、「アカデミー賞は確実」といった関係者の熱のこもったコメントが世界中を駆け巡っている。
「話題性」では最高のタイミング
それと同時に、ジョーカーの役作りのために24キロ体重を落とした、といったニュースも駆け巡った。日本の観客の間にも、これまでジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレッド・レトといった名優たちが演じてきたジョーカーというキャラクターを、“エキセントリックな俳優”というイメージもあるホアキン・フェニックスがどうやって演じたのか、ということにも期待感が高まっていった。
また、「ジョーカーをなぜ主人公に据えたのか」「トランプ大統領批判を巧みに表現した」といった賛否両論が巻き起こり、世界的な社会現象にまで発展していた。10月4日に日米同時公開されたが、「話題性」ではまさに絶好のタイミングとなった。
日本ではこうした「話題性」をテコにヒットにつなげるケースが多い。例えば2月24日にアカデミー賞作品賞を受賞した『グリーンブック』が3月1日に日本で公開され、興収約21億円の大ヒットを記録した。
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