ソニー次期社長レースの号砲、平井SCE社長が最右翼、吉岡浩副社長の声も
次期社長の最右翼とされるのが、ゲーム子会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫社長(48歳)。音楽畑出身で米国駐在が長く、映画出身のストリンガー氏と最も意思疎通ができている。今回はグループ役員の立場から一挙に約30人をごぼう抜きしてソニー本体の執行役員に就き、ゲームやパソコンなどを束ねた新組織の統括者となった。2月27日の会見では満面の笑みで「ソニーは次のステップに進む」と饒舌にビジョンを語り、記者からは「まるで社長就任会見だ」との声も漏れた。
実際、ストリンガー会長は4月の平井社長誕生を推したと関係者は明かす。だが平井氏には主業であるエレキの経験が皆無なため、執行役員の強い反対にあったようだ。
そのエレキ陣営からの本命と推されるのが吉岡浩・テレビ事業本部長(56歳)。副社長に昇格してエレキ全般を統括する。携帯やオーディオのトップを歴任した吉岡氏は、業績が急転直下するまでは井原氏に続く将来の社長候補と目されてきた。ヒット商品を生んだ経験がないと指摘する声もあるが、独創的なエンジニアが次々と去った社内で調整型リーダーとして求心力を急速に高めてきた。
今後、平井氏はネットワーク時代の新製品・サービスの育成を、吉岡氏は既存のエレキ事業の収益力改善を託され、社長レースを競う。その過程で、ソニーはハードからソフトへ、自社生産から外注生産中心のファブレスモデルへと事業のあり方を変えていくことになるだろう。
国内電機メーカーのあるトップは今回の新体制を聞き、「ソニーは製造業でなくなるのではないか」と漏らした。ポスト・ストリンガー誕生時に、新生ソニーの姿を見ることはできるのか。その前には多くの茨道が控えている。
(杉本りうこ 撮影:今 祥雄 =週刊東洋経済)
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