広まるビットコイン、貨幣になる日は来るか 日本でも利用者が増加。仮想通貨の実態と今後は?
ビットコインの世界有数の取引所MtGox(マウントゴックス)は東京・渋谷にあり、「200カ国以上の人が利用している」(同取引所のカルプレス・マルク代表)。そこでの価格は昨年初、1ビットコイン(BTC)=13ドル程度だった。それが、11月下旬には1200ドルを超えた。
きっかけは欧州キプロスの金融危機だった。昨年3月に銀行預金への課税が発表されると、ビットコインへ資産を移す動きが強まった。次に10月。中国のネット検索大手、百度(バイドゥ)がビットコインを決済通貨として採用。人民元に対する不満を感じていた中国人が、投機目的もあり、ビットコインを買い上げた。
これだけ価格が変動すると決済には使いづらい。ある店では、ビットコインで決済しようとした客がいたが、価値が大きく上昇したのでカード決済に替えられたこともあるという。
競合品も続々登場
現状は1BTC=1000ドル前後だが、「今後、急落する可能性が高い」と岩村氏は指摘する。理由は、ビットコインに多くの競合品が出現しているからだ。ライトコイン、ピアーコインなど仮想通貨が続々と生まれている。どれもコンピュータを使って計算することで発行を受けられるうえ、その決済手数料は極めて安いという点で同じだ。
競合品の登場で価格が下がるのは、原油もビットコインも同じ。シェールガスの開発・生産が進み、原油価格は頭打ち。「今のビットコイン価格にはそうした競合との関係が十分織り込まれていないのではないか」と岩村氏は指摘する。今は人気のビットコインも、価格が急落すれば、利用者が一気に減ってしまう可能性もある。
ほかにも課題はある。前述した米国でのマネーロンダリング事件のように、不正取引に利用されやすい、ということだ。
ビットコインは発行主体が存在せず、利用者同士が匿名で取引できる。しかも銀行などを介さずに決済できるため、麻薬取引や資金洗浄などに利用されても、その出どころを追跡するのは難しい。
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