乗車でポイント還元「Suica」新サービスの狙い モバイルの還元率高め、カード型から誘導?

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さまざまなポイントサービスが存在するが、JR東日本の強みは「モバイル対応」であり、モバイル利用時の還元率の高さである。これは、スマートフォンに対応していないほかの交通系ICカードにはできないことだ。

ポイントサービスの共通化とともに進んできたのがSuicaのモバイル強化施策だ。モバイルSuica自体は従来型携帯電話の時代から存在し、スマートフォンでもAndroid搭載機では以前から使われていたが、2016年10月からiPhoneでもモバイルSuicaが使用できるようになった。日本ではiPhoneのシェアが高く、これ以降モバイルSuicaの普及が進んだ。

10月1日から導入のSuicaのポイントサービスではモバイルを大幅に優遇する形となり、ポイント共通化とともにカードからモバイルへの移行を一気に推し進めようとしている。

モバイル移行促す材料に

新しいポイントサービスは還元率の高さや汎用性からいっても、とくにモバイルの場合は相当な大盤振る舞いに見える。そういったサービスを行う意図はどこにあるのだろうか。それは「カード型Suicaからモバイルへの移行」を促す点にあるといえるだろう。

近年主流となっているICカード専用の改札機(写真:つむぎ/PIXTA)

最近、JR東日本の駅にある券売機の設置箇所に空きスペースが増えているのにお気づきの方も多いだろう。Suicaを現金でチャージする人も減り、定期券は通勤定期ならばモバイルで買う人も多くなった。新幹線はモバイルSuica、特急もチケットレス化が進む。窓口も券売機も設備を減らすことができ、人件費や設備費のコストを削減できる。ICカード専用の改札機は構造もシンプルだ。

さらに、モバイルSuicaが普及すればICカードそのものの販売も減らすことができる。JR側の手間やコストの大幅な削減につながるのだ。

今後はさらにスマートフォン対応のサービスが増え、いずれカード型のSuicaは通学定期券などに使用するものが中心になっていくのではないだろうか。それさえも、スマホカメラで学生証の写真を撮影してアプリで自動認証、ということになるのかもしれない。

今回のモバイル利用者を優遇した高還元率のサービス導入により、カード型からモバイルSuicaへの移行が進めば、改札・窓口・券売機周りの省力化が一層進むことになるだろう。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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