はじめに、読者にお知らせがある。さる9月24日に当連載の筆者の1人である、ぐっちーさんこと山口正洋氏がご逝去された。残念でならない。心からご冥福をお祈りする。故人の遺志により、葬儀やお別れ会などは行われないと聞いているが、詳しくはグッチーポストのHPで確認されたい。
ぐっちーさんと筆者とは、主に本連載と単行本「ヤバい日本経済」(本連載3人の共著、東洋経済新報社)そして競馬場でのお付き合いだった。ぐっちーさんは、行動するビジネスマンだった。アメリカ経済や、地方経済などに対して、ビジネスを通じて得た肌感覚を元に立論されるので、文章には独特の説得力があった。筆者は、「ヤマザキさん、経済を机上の理屈だけで論じてはダメですよ!」と言われているような緊張感を持ちながら、ぐっちーさんの記事を毎回読んでいた。
本連載では9月21日配信のぐっちーさん「地方大学の単なる定員増は無茶」が絶筆となった。東京の大学の定員を制限して地方大学の学生を増やそうとしても若者のためにならないこと、どこでも仕事ができる「anywhere型」のビジネス・パーソンを目指すべきであることについて、筆者も100%賛成だ。特に若い読者は、ぐっちーさんのメッセージとして長く心に留めて置くといいと思う。
次のバブル崩壊は「債券」がキーワードだ
さて、ぐっちーさんが近年繰り返し伝えてくれて、その通りだったことにアメリカ経済の強さがある。われわれが好きな競馬に喩えるなら、ドナルド・トランプという名の不規則発言をする騎手が乗っているが、馬であるアメリカ経済は頗る元気だ、という状況が続いていた。
アメリカと現実にビジネスで深く関わるぐっちーさんの知見がなければ、筆者は、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めに転じた時や、米中貿易摩擦が勃発した際に、好況の終わりと、何らかのバブル崩壊を強く予想したかも知れなかったのだが、今日まで「もうは、まだなり」の一線で踏み止まることができた。
とはいえ、「直ちに」ではないと思うのだが、次の不況とバブル崩壊の可能性を示唆する予兆がちらほら見えて来ているように思う。次の危険地帯は、民間の債務であり、もっと絞ると「債券」だろう。
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