近鉄の新型特急「ひのとり」は何が最強なのか 全席バックシェル付きシートは鉄道業界初
バックシェルは「レギュラー車両」のシートにも設置した。列車のすべてのシートにバックシェルが設置されるのは鉄道業界初という。レギュラー車両のシートの前後間隔は116cmあり、これは新幹線のグリーン車並みとなる。全席にコンセントがあり、無料Wi-Fiが提供されるのは昨今の流れといえるだろう。
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また、プレミアム車両には「カフェスポット」を設け、コーヒーサーバーやスナックの自動販売機が置かれる。食べ物やドリンクの車内販売は予定されていないが、「お客様の要望があれば検討したい」という。
車内の快適度が増した分だけ、価格も若干の引き上げとなった。「特別車両料金」として、大阪難波―近鉄名古屋間ではプレミアム車両で900円、レギュラー車両で200円を上乗せする。利用者にアンケートをとって、「これくらいの値段なら乗ってくれるという設定にした」という。
プレミアム車両に乗車しても新幹線よりも安い。しまかぜが特別料金を取っているにもかかわらず大人気という状況も後押しした。スピードで新幹線にかなわない分、サービスで徹底的に差別化しようという戦略だ。
あの漫画との関係は?
列車の名前は「ひのとり」に決まった。列車が疾走するスピード感が鳥の飛び立つ姿を、深紅の車体カラーが「火」を連想させることから命名された。「火の鳥」をイメージしたシンボルマークも車両に付けられる。
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火の鳥といえば、手塚治虫の長編漫画「火の鳥」があまりにも有名だ。「名前の“ひのとり”や車両のシンボルマークは手塚作品と関係があるか」という質問に対し、近鉄側は、「関係ない」と述べたうえで、「念のため手塚プロには事前に説明して了承も得ている」と説明する。
ひのとりの投資額は184億円。1両当たり2.5億円だ。これは計18両を製造した豪華特急「しまかぜ」の1両当たり投資額2.8億円に近い水準である。2002年に製造された「アーバンライナー・ネクスト」の1両当たり価格は1.9億円程度であり、時代背景が違うとはいえ、コスト面からも近鉄の力の入れ具合がうかがい知れる。
予定どおり進めば、10月下旬には車両製造を行う近畿車輛の工場から完成車両が近鉄の車両基地に運び込まれる。11月にはその雄姿を見ることができるはずだ。
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