阪急の観光列車、普通運賃だけで「驚きの内装」

大胆な戦略の裏には綿密な計算がある?

阪急に登場した観光列車「京とれいん雅洛」(撮影:梅谷秀司)

数え切れないほどの観光列車が全国各地を走っているが、コストパフォーマンスの点で、多くの乗客に驚きを与えるのは間違いなくこの列車だろう。阪急電鉄の「京とれいん雅洛(がらく)」である。3月23日から土・日・祝日に梅田―河原町間で運行開始した。

「驚き」の理由を先に明かしておくと、この列車に乗るために必要な料金は普通運賃のみだ。観光列車に乗る際、指定席券や特急券などの追加料金を必要とする鉄道会社は多い。たくさんの観光列車を走らせているJR九州でいうと、「SL人吉」は座席指定料金が、「指宿のたまて箱」や「A列車で行こう」は指定席特急料金が必要だ。豪華クルーズ列車「ななつ星 in 九州」に匹敵する内装が話題の「或る列車」は旅行商品扱いとなり、その金額は2万5000~3万7000円に及ぶ。

それに対して、この列車は普通運賃しか必要ない。梅田―河原町間なら400円のみ。予約も不要で、いきなり駅に行って乗れる。

外観は阪急伝統の色だが…

雅洛の外観は、「マルーン」と呼ばれる阪急の一般列車と同じ茶系の配色だ。扇子のイラストが描かれていたり、「雅洛」という文字が貼られていたりするのが、通常の列車との違いといえようか。

側面に扇子を描いた「雅洛」の外観(撮影:梅谷秀司)

ところが、一歩車内に足を踏み入れると、驚きの世界が待っている。6両それぞれに四季や植物をモチーフとして趣向を凝らした装飾が施されており、そのこだわりは、JR九州の観光列車レベル。追加料金を徴収しても不思議がないくらいだ。「乗ることそのものが忘れられないイベントになる」とは、JR九州の観光列車のキャッチフレーズだが、それは雅洛にもそのまま当てはまる。追加料金を取らない分、雅洛のほうが「忘れられないイベント」といえるかもしれない。

次ページ車内に枯山水の庭が
鉄道最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • 本当は怖い住宅購入
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT