東上線「川越特急」登場、東武vs西武「春の陣」 観光輸送では西武が先行、競争か協調か
3月16日から東武東上線で「川越特急」が運行を開始した。この電車は平日5本、土休日は6本の運行だ。池袋から川越の間は朝霞台のみに停車し、両駅間を26分で結ぶ。主力列車である急行はこの区間を約30分で走るため、川越特急はかなり速さにこだわっていると言えるだろう。
東武鉄道がいま、このような思い切った新種別を設定した狙いは何だろうか。そして同じく東京都内と川越を結ぶ西武鉄道はどういった対抗策を考えているのだろうか。
人気の高まる川越
川越は東京近郊のベッドタウンで、人口約35万人の都市だ。江戸時代には川越藩の城下町として栄え、その後も商都として栄えたために寺社や歴史的な街並みが広がり、メディアで取り上げられることも多い。また、東京に近いこともあって年々観光客が増えており、現在は年間約734万人の観光客が訪れる。特に近年はインバウンドの伸びが著しく、10年前に年間約4万人だった外国人観光客は約7倍の約30万人まで増えた。
そんな川越市と東京都内を結ぶ鉄道は東武東上線、
近年高まり続ける川越の人気に対して、東武鉄道はある問題意識を持っていた。「川越は有名になってきているが、どうやって行くかという部分で首都圏の方に意外に認知されていない」(東武鉄道担当者)ということだ。川越は同社にとって池袋と共に重要な拠点で、東上線の核とも言える場所だ。しかしながら、川越と東上線が結びついていない。そこで考えられたのが「川越特急」であった。
今回の「川越特急」設定は沿線外の人をターゲットとし「PR戦略の一環としての新種別という側面が強い」(同)という。そして設備投資を抑えつつ最大限のインパクトを狙うこともミッションだ。そのため、さまざまな面に東武の「こだわり」が見える。
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