西武後藤社長が明かす「埼玉をどうしたいか」 本社東京移転後の川越、所沢、球団の将来は?

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西武ホールディングスの後藤高志社長が「埼玉戦略」について語った(撮影:尾形文繁)
西武グループといえば、埼玉の名を冠する「埼玉西武ライオンズ」を擁し、西武池袋線や新宿線も埼玉県内を走るため、埼玉を基盤とする企業のイメージが強い。本社も埼玉県所沢市にある。だが、同社は2019年春にグループ本社などの機能を所沢から池袋に移転させる。埼玉県出身の筆者としては、西武の”脱埼玉”が進むようで寂しさを感じるとともに、地元経済に与える影響なども懸念する。
本稿では今後の西武グループの舵取りについて、「埼玉」を主なキーワードに、西武ホールディングス(HD)社長の後藤高志氏に話を聞いた。

所沢経済へのインパクトは?

――所沢から池袋への西武グループの一部機能移転に伴い、雇用や商業施設の客足など、所沢の地元経済へのインパクトが懸念されます。

結論から言うと、まったく心配はありません。所沢から池袋に移転するのは西武HDと西武プロパティーズの本社機能で400名くらい。移転の主な理由はお客様、株主、メディア関係者、金融機関などステイクホルダーのみなさまとのコミュニケーションは都内のほうが便利ということがあります。一方で、所沢は池袋線と新宿線の結節点で交通の要であり、西武鉄道の本社は、引き続き所沢に残します。

移転後は、現在、所沢の西武鉄道ビルと西武第二ビルに分かれている機能を西武鉄道ビルに集約します。第二ビルはテナントを募集しており、すでに引き合いがあり、われわれが移転した穴は完全に埋めることができます。

――所沢駅に直結し、70店舗以上が出店する複合商業施設「グランエミオ所沢」を今年3月にオープンするなど所沢駅周辺の開発を積極的に進めていますが、所沢市の人口や世帯数は頭打ちになっています。今後の展望を教えてください。

駅員・乗務員向けの視覚障害者対応研修にも参加。中央で目隠しをしているのが後藤社長(撮影:尾形文繁)

グランエミオ所沢は好評で、所沢駅の乗降客数は増えています。また、2020年夏のオープン予定で、グランエミオ所沢の第2期工事も進めており、あわせて駅を拡張し、南に改札を1つ増やします。さらに、2020年代の半ばになりますが、西口の所沢車両工場跡地を商業施設および住居棟として再開発を進めるプロジェクトが完成します。ここは約5万9000㎡の敷地があり、約3万㎡の「東京ガーデンテラス紀尾井町」と比べても広く、かなり大規模なものとなります。

こうした一連の開発で雇用が生み出され、昼間人口が増えるとともに、2020年代半ばには、所沢駅の1日平均乗降客数が現在の約10万人から約13万人に増える見込みで、これによる増収が年間9億円と試算されています。加えて、上安松、日東、北秋津の各地区でも住宅の建設が進んでおり、昼間人口のみならず、定住人口も増えるでしょう。

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