西武後藤社長が明かす「埼玉をどうしたいか」 本社東京移転後の川越、所沢、球団の将来は?

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――これまで、西武グループの沿線価値の向上という面で、グループ内の小売・流通部門が弱かったのが1つの課題だったように思います。グランエミオ出店はこれを補う動きとみていいでしょうか。

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昭和40年代に西武鉄道グループと小売・流通事業を担うセゾングループに分かれましたが、駅の利便性を高めるためにも、生活に密着した商業施設は絶対に必要です(編集部注:その後、セゾングループは2001年に事実上解散。現在、西武百貨店はセブン&アイ・ホールディングス傘下、西友はアメリカのウォルマート傘下入りするなどしている)。鉄道事業のバリューアップという位置づけで、これまで展開してきたエミオの集積をより高めたグランエミオを大泉学園に続いて、所沢に出店しました。

――今後、たとえば西友を買収するなど、自前の流通部門を持つ可能性はありますか。

現時点でそれは考えていません。一言でいうと流通業はROA(総資産利益率)が低い。流通部門を抱える鉄道会社もありますが、流通部門を持たないことが逆に西武グループの強みです。テナントであれば、パフォーマンスを見つつ必要に応じて入れ替えるなど、機動的・戦略的に動くことができます。

――グランエミオ所沢は、「テラスモール湘南」などを手がけ、専門店の誘致に強みがあるといわれる住商グループと組んだのが、成功の大きな要因という見方があります。今後、出店を推し進める場合も、住商グループと組みますか。

最初から住商さんということにはなりません。われわれはつねに入札という形でベストなパートナーを選んできました。仮にそういう話になれば、まずは入札を行います。

球団をグループ価値向上にどう生かす?

メットライフドームはグループの価値向上に資するか(撮影:風間仁一郎)

――180億円をかけてメットライフドームの改修工事に着手しました。今後、球団を西武グループの価値向上にどのように生かしますか。

2008年に「埼玉」という名前を冠する以前から一貫して言い続けてきたのは、ライオンズはグループのシンボルであり、これからもグループとして球団をしっかりと保有し、優勝するんだということです。今シーズンは10年ぶりにリーグ優勝を果たし、ライオンズ主催試合の入場者数も約176万3000人と、4年連続で過去最高を更新しています。

西武グループの価値への貢献という意味では、ライオンズを保有している西武グループというだけで全国に通用します。また、アメリカなどでは特にそうですが、西武グループのCEOだと言ってもピンとこない人もいますが、「12球団しかないプロ野球球団のオーナーだ」と言えば、ウェルカムになるケースがあります。海外に事業展開するうえでも、球団保有の意義は大きいのです。

さらに言えば、今やライオンズはしっかりと利益を生み出してくれており、今後、メットライフドームのボールパーク化などの施策で、より価値を高めていきます。

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