西武後藤社長が明かす「埼玉をどうしたいか」 本社東京移転後の川越、所沢、球団の将来は?

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――連結営業収益を足下の約5300億円から、将来的に1兆円にするという目標を掲げていますが、現在の新規事業計画としては、会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」と宿泊特化型ホテル「プリンス スマート イン」くらいしか目立つものがありません。達成可能なのでしょうか。

鉄道事業などの安定的なキャッシュフローがあると、つい油断してしまいますが、間近に迫る少子高齢化の問題などに備え、既存事業の強化だけでなく、新規事業をしっかりやっていくことが必要です。今展開している中では、スマートインを向こう10年で100カ所、バケーションクラブを20カ所くらいにしていきたい。

後藤高志(ごとう・たかし)/1949年生まれ。1972年東京大学卒、第一勧業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)入行。2004年みずほコーポレーション銀行副頭取。2005年西武鉄道特別顧問、社長。2006年から現職(撮影:尾形文繁)

しかし、これだけやってもチャレンジターゲット達成にはまだ足りません。なぜ、このような高い目標を掲げるのかと言えば、BHAG(ビーハグ、Big Hairy Audacious Goal)という考え方がベースにあるからです。これは『ビジョナリー・カンパニー』(ジム・コリンズ著)に出てくる概念で、大きく、大胆で、達成困難な目標と訳されます。

1960年代初頭、ソ連に宇宙開発競争において大きく水を開けられたアメリカで、ケネディ大統領が「向こう10年の間に、人間を月に着地させ、安全に地球に生還させる」と宣言しました。誰もが達成困難と思う中で、1969年にアポロ計画として、人類初の月面着陸に成功しました。つまり、達成困難と思える大きな目標が組織に活力を与え、イノベーションを引き起こすというのがBHAGの基本的な考え方です。

われわれはBHAGをキーワードに、新たな視点でスピード感を持ってイノベーションを生み出そうということで、あえて業容を倍以上にするという高い目標を設定しているのです。

社長への報告義務がない部署

――イノベーションを起こし、新規事業分野を創出するために、新たな部署を立ち上げたそうですね。

昨年4月に西武HD内に「西武ラボ」という部署を立ち上げました。10人ほどが所属していますが、ルーティンワークは一切行わず、検討段階においては社長に対する報告義務もありません。現在の中期経営計画における総額450億円の戦略投資枠の予算を設定しているので、必要に応じてこの中から予算化していきます。今現在、いろいろなことを研究しており、これからどのような展開になるか予想がつきませんが、大きく期待しています。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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